ファイナンス 2023年11月号 No.696
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前橋税務署 総務課長大畑 勝ぜ)」、それに「雷」の3Kがあります。最初のK「かかあ天下」は、強い女性というイメージがありますが、実のところ、江戸時代中期から養蚕が盛んで、女性がその手間のかかる蚕の世話をするほか、家事・育児とよく働き家計を支えており、夫たちは「俺のかかあは天下一!」と叫び、これが上州名物の「かかあ天下」と言われてきました。二つ目のK「空っ風」は、冬の日本海側で雪を降らせたあとの乾燥した冷たい空気が山を越えて吹き降りてきた風のことで、「赤城おろし」「榛名おろし」などとも呼ばれていますが、その強くて冷たい風を「空っ風」と言っています。最後のK「雷」は、群馬が全国的にも夏に雷が落ちやすい県であり、夏になると上毛三山に囲まれた地形から、夏の強い日差しに温められた空気が上昇気流を作り出し、雷雲となって雷を発生させるからと言われはじめに前橋税務署は、明治29年11月に設置され、その後幾度かの庁舎移転を重ねて、平成27年6月に現在の庁舎である「前橋地方合同庁舎」へ移転しています。当署がある前橋市は、群馬県の政治・文化・経済の中心都市であり、「水と緑と詩(うた)のまち」をキャッチフレーズとして掲げ、赤城、榛名の山並みを背景に、豊かな水をたたえた利根川(呼称:坂東太郎)や広瀬川などが市街地を流れ、萩原朔太郎をはじめとする多くの詩人を生んだ緑豊かな自然と文化に恵まれた都市となっています。「かかあ天下」と「空っ風」上州の名物に「かかあ天下」と「空風(からっかています。「上州の雷は一番音がする」と言われ、神様が鳴らしていると恐れられている一方、雨を降らせ、水の恵みを与えるものとされてきました。ここまで紹介してきた上州名物の空っ風と雷には、「雷(らい)と空風(からっかぜ)、義理人情」と詠まれたかるたがあります。この札は群馬県民の強い思いから2つしかない赤い札の1枚となっています。そんな「上毛かるた」は、昭和22年に発行された群馬を代表する郷土かるたであり、全44枚の群馬県の名所旧跡や輩出した人を札としています。翌昭和23年には、第一回上毛かるた競技県大会が開催され、毎年1月から2月がかるたシーズンで群馬県内の子供たちは、1月の予選大会、2月の県大会に向けて冬休みを利用して練習に励むのが普通です。そのため、群馬県人は、かるたの読み札をほぼ暗記しています。また、「力あわせる二百万」という札がありますが、この札は、群馬県の人口が入っており、作られた当時の160万から始まり、その後4回改められ、平成5年に現在の200万になっています。このため、それぞれの年代を知る目安に使われることもあるようです。いつの時代も、上毛かるたによって郷土愛や助け合いの 58 ファイナンス 2023 Nov.上毛かるた上毛かるたとデジタル県〜 明るく、楽しくそして希望の持てる未来に向かって〜県都前橋前橋市

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