英オックスフォード大学経済学博士、大阪大学応用経済学博士。平成5(1993)年早稲田大学政治経済学部卒、日本銀行入行。日本銀行金融市場局企画役、オーストラリア国立大学教授などを経て、平成26(2014)年から現職。 ファイナンス 2023 Nov. 53PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 25京都大学経済学博士。平成6(1994)年東京大学経済学部卒、大蔵省入省。財務省主税局調査課税制調査室長、京都大学経済研究所准教授、IMF財政局審議役などを経て、令和2(2020)年から現職。藤原 一平 慶應義塾大学教授上田 淳二 財務総合政策研究所総務研究部長本講義では、・因果関係と相関関係の違いを理解する・帰納的説明と演繹的説明の区別について理解することを目的に、慶應義塾大学の藤原一平教授を講師にお招きしました。減税や政策金利の上昇が消費や投資、ひいてはGDPへ与える影響等、具体的な事例に対する計量経済学(帰納的説明)や経済理論(演繹的説明)からのアプローチや、良い政策を考えるための効率性や公平性などの条件に対する規範的分析の重要性、相関関係から因果関係の見つけ方(見せかけの因果関係ではないか)など、経済学的思考を身につけ、有効な政策対応等を考えるための視座を提供いただきました。また、恒常所得仮説や効用最大化問題などの基礎的な経済理論も紹介いただくとともに、「因果関係の背景にある仮説は、経済理論から導出されるもの」「因果関係の背景にあるメカニズムは、経済理論なしに理解することは難しい」として、経済理論を学ぶ必要性についてもお話しいただき、経済学への第一歩を踏み出すための講義となりました。本講義では、・ GDPや物価、金利、為替レート、財政といった財務省での業務と関わりの深い分野の関係性を整理する・ 「マクロな視点」から、経済政策の本質について考えるきっかけとすることを目的に、財務総研の上田総務研究部長から全3回にわたって話を伺いました。第1回では、「良い経済」を考えるにあたって、Well-beingなど生活の豊かさを測る様々な指標と比較したGDPの特徴(国内で生産された付加価値で、市場生産+非市場生産)や、生産が分配・所得に繋がり、需要が生まれてまた生産されていくといった一国経済全体(マクロ経済)での循環の概念をご紹介いただきました。第2回では、コントロールできない様々な要因によって増減する企業の売上とその結果変動する所得水準に対し、経済活動の萎縮が生じないように介入し、変動をスムーズにしようとするという、政府によるマクロ経済政策の発想について説明いただき、国民経済計算の制度部門(企業・家計・政府)の解説と、これまでの日本での各部門における所得と支出の動きの概観を通して、1990年代以降の日本経済の停滞の要因に関するいくつかの見方の紹介をいただきました。第3回では、企業が設定する価格について、物価の変動要因をマネーの量、為替レートとの関連から分析し、そこから考えられる日本経済の近年のデフレ傾向の原因について例示いただきました。その後、自国通貨価値の棄損、所得水準低下、社会の不安定化などの中長期リスクや、需給バランスの悪化、デフレ傾向の再燃といった短期的なリスクがある中で、対外的な信認の維持や、次世代のための資源配分、安定的なマクロ経済運営の必要性など、今後の経済財政運営の課題についての示唆をいただきました。本講義では、・ データ分析の方法として、データの特徴をどう把握し、データからどのように予測を行い、データの因果関係をどのように探るのかについて学ぶ・ データ分析を組織の意思決定にどのように活かせるのか、例示とともに理解する【経済編】(1)「経済学的思考を身につけよう」(2)「良い経済って何?」【データ分析編】(3)「データ分析を仕事に活かそう」
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