ファイナンス 2023 Nov. 49令和5年度夏季職員トップセミナーに朝夏さんにも来ていただいて、会議の模様を番組にしてYouTubeで流して、さらに日比谷シャンテでスタンプラリーをしていただき、ファンの方に限定ラベルのホッピーを差し上げるという取り組みをいたしました。宝塚ファンの方はホッピーを飲んだことがない方ばかりでしたが、自分たちの推しである朝夏さんがこうしてYouTube番組に出て企画会議をやっているのなら飲もうということで、日比谷シャンテで飲んでもらい、これがきっかけでホッピーが好きになりましたというお声もいただくようになりました。パンデミックの影響は大きいのですが、このようなことで新しい市場を作る扉が開き始めたな、と感じています。(6)ニューヨークでの挑戦ホッピーが日本で、東京で皆様に知っていただいているのは大変ありがたい一方で、日本では、新しいことに挑戦したいとき、既存の固定概念がどうしても足を引っ張ってしまいます。先ほど申し上げたとおり惨憺たるイメージを持たれておりましたので、このままではいけない、ホッピーの可能性を狭めてしまう、と考えました。それなら、「あの国でホッピーが好かれたらいいなあ」と思う場所で挑戦しよう、そうなると世界三大都市のどこかになるよね、ということで私はニューヨークを選びました。「mina-chaya(ミーナ茶屋)」という、日本が世界に誇る居酒屋文化、和の食、和のおもてなしをホッピーと共に表現する茶屋をやろうと思いました。いよいよ物件を探そうとなった段階で、パンデミックのため911日間渡航できなくなってしまいましたが、またここから再開してまいりたいと考えています。東京では芽を出しにくいけれど、ホッピーの魅力発揮につながっていく何かをニューヨークで育てて、それを逆輸入することで東京の市場、日本の市場に刺激を与えることができればと思っています。3.人財教育ア)社会から必要とされる企業文化創造のためにここからは弊社の人財教育についてお話いたします。日本のビール業界は世界でも特殊だと思うのですが、弊社以外はみな大手で、大手の中で弊社のような蟻んこが共に戦わないといけないのです。それではどうしたら永続的に経営できるだろうかと考えた時に、真似できないものを作っていくしかないとの思いに至りました。では真似できないものとは何か? それは企業文化であり、そして企業文化を作る人なのです。愛され続ける、社会から必要とされ続ける企業文化を作っていくためには人財教育しかない、と私は考えました。では人財教育とは何をするのか? 私が創業百年の3代目を承継する時に、弊社のお客様からこんな言葉をいただきました。「石渡さん、ホッピーが何でこんなロングセラーになったと思う? 戦略とか戦術ではないのだよ、ホッピーの人柄が良いからだよ。恐らく創業者のおじいさんは人柄が良い人だったのだろうね。お父さんもそうだった。人柄が良いトップのところには人柄が良い社員が集まって、結果として人柄が良い企業文化が生まれる。人柄が良い企業文化から生まれた製品は人柄が良い、だからホッピーは愛され続けるのだよ。なので、あなたが3代目を継ぐことは、この人柄が良い企業文化をきちっと継承して育てていくことだよ。あなたを筆頭にあなたたち社員が心を磨いていくことが大事だよ。」私も祖父、父を見てきましたので、そこは腑に落ちました。そういうことで私の人財教育の肝は「自分を知る、他人を知る、心磨き」です。弊社では、プロになるまでに10年はかかると考え、「プロになるための10年構想」を作り、取り組んでいます。特に内定の時代を含む最初の5年が大事であり、弊社では「丁稚時代」と呼んでいます。学生気分を撤イ)自分を知る、他人を知る、心磨きウ)ホッピー3代目の主戦略:新卒採用・育成2006年に経営コンサルタントの方から「中小企業は会社が小さいので、社員一人一人が社長の思いを具現化する具現者になることが大事だ。そのためには社会のことを何も知らない新卒を採用して社長自らが教育していくこと、つまり心を躾けていくことが将来この会社を支える力になる。だから新卒採用をやれ。」と言われまして、私は新卒採用の取り組みを決定しました。こうして私の3代目としての主戦略は新卒採用と新卒社員の人財育成ということになりました。エ)プロになるための10年構想
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