ファイナンス 2023年11月号 No.696
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12345678910111213年(出所)一般財団法人 自動車検査登録情報協会の資料から筆者作成図4 広域図199520002005201020152020000510位筑西市西尾市掛川市伊勢崎市那須塩原市福井市白山市太田市神栖市高岡市222015(出所)地理院地図vectorに筆者が加筆して作成図3の範囲小松空港安宅の関’17~イオンモール新小松店舗面積45,723㎡園町交差点北陸自動車道小松ICイオン小松店’91~ 13,763㎡アル・プラザ小松’89~ 15,738㎡図5 小松市の自家用乗用車の普及状況(軽自動車を含む)松駅前第2防災建築街区が8階建の尚成ビルだ。昭和50年(1975)12月に完成し、西友ストアが入居した。後に百貨店に業態転換し「小松西武」となる。鉄道が石川県南部一帯から人を集めて繁盛した中心商業だったが、大型店の登場でその核が駅前に移ってきた。次は、平成3年(1991)に開店したジャスコブロードタウン新小松(現・イオン小松店)である。こまビル内の店舗が小松店なので郊外店は“新”小松店となった。もっとも駅前の小松店は翌年の平成4年(1992)に閉店したので、1年前後するが実質的な郊外移転だ。平成4年(1992)に西武百貨店の経営になった小松郊外化をもたらす屈指の乗用車普及率平成に入ると車社会の波が押し寄せる。既に昭和45年(1970)には官公庁等の郊外移転が始まっていた。小松空港から九龍橋川と並んで走る空港軽海線(国道360号線)と旧8号バイパス(現・国道305号線)が交わる園町交差点の近辺に郵便局や商工会議所が移転した。昭和52年(1977)に尾小屋鉄道は、昭和61年(1986)には北陸鉄道小松線が廃線となった。ロードサイドの大型店は平成元年(1989)、園町交差点近くに出店したアル・プラザ小松が始まりである。1,600台分の駐車場を擁していた。核店舗は平和堂だが、地元商店が立ち上げた協同組合コミュニティショッピングプラザとの共同出店だった。西武は、駐車台数が60台と少ないことがネックとなり郊外店の攻勢を受け売上が急減した。赤字が累積し、平成8年(1996)12月には閉店を余儀なくされた。郊外移転したジャスコに続き、駅前に2店あった大型店が無くなり、中心街の人通りが途絶えてしまった。平成10年(1998)、小松西武が撤退した後の尚成ビルを大和百貨店が譲り受け、出店することとなった。駐車場不足が課題だったため、隣地に駐車台数312台、7階建の立体駐車場を市の支援で整備することが要件となった。開店効果で駅前の人通りはいったん持ち直す。平成16年(2004)、周辺整備の一環で小松駅が高架駅となり、広場に面して県立ホールができた。もっとも持ち直しの動きは続かなかった。店舗の耐震化対応に迫られる一方で売上低迷に歯止めがかからず、開店から12年後の平成22年(2010)に大和が撤退。再び空きビルとなった。そもそも小松市は全国屈指の車社会である。軽自動車を含む都市別の自家用乗用車の世帯普及率をみると平成9年(1997)から平成16年(2004)まで全国で2番目に高かった。順位は下がったとはいえ直近の令和4年でも11位だった。世帯当たりの台数は1.624台である(図5)。駅前の路線価がm2当たり11万円なのに対し、イオンモール新小松の前の通りが7.2万円、アル・プラザ面で広がる町家の風景北陸新幹線の延伸開業を来年に控える小松駅の駅前だが、今年の路線価は前年比横ばいだった。同じく延伸開業を迎える福井駅前がこの7年で3割高となったのに比べ小松駅前の反応は鈍い。 42 ファイナンス 2023 Nov.

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