(出所)財務省1999年4月TB1年物の公募入札開始1999年9月30年債公募入札開始2000年2月5年利付債導入2000年6月15年変動利付国債の公募入札開始2000年9月国債市場懇談会の開催開始2000年11月3年割引債の公募入札開始2001年3月即時銘柄統合(リオープン)方式の導入図表1 1999年から2001年における主な国債制度改革齋藤通雄 前理財局長前理財局長 齋藤 通雄/東京大学 服部 孝洋新商品の導入について服部 齋藤様は、15年の変動利付国債の導入も担当されたということですが、どういった経緯で導入されたのか覚えていらっしゃいますか。齋藤 15年変動利付国債は、1999年、私が課長補佐の時に商品設計されました。でも、遡ると、15年物の変動利付国債は、1982年度から出していたことがあるんです。1982、1983年度以降くらいに、最初の15年変動利付国債の「直接発行」、要するに入札を経ないで、農林中金や生命保険会社、信託銀行といった機関投資家に対して直接、市場外で発行していまし本インタビューの目的我が国の国債市場の重要な制度の多くは、主に2000年前後に形作られています。もっとも、その際の議論については意外と文献がないのが実態です。そこで、本稿では、国債を専門とする経済学者である服部が、国債の制度改正に深く携わった齋藤通雄氏にインタビューし、それを活字化することで、2000年前後の制度改正の歴史を将来の世代に残すことを目的にしています。本インタビューは、「齋藤通雄氏に聞く、日本国債市場の制度改正と歴史(前編)」の続編であり、まずはそちらをご一読ください。なお、本インタビューの活字化等にあたり、東京大学経済学部の安斎由里菜さんと新田凜さんの協力を得ました。た。昔の15年の変動利付国債がどういう商品設計になっていたかというと、名前の通り変動金利で半年毎に金利を見直すんですけど、半年ごとに10年国債の金利を払うという商品性だったんです。服部 これは後程の設計と比較すると、αがないということですね(2000年に導入された変動利付債の商品性は図表1を参照)。齋藤 その通りです。理論上、これは金利を払い過ぎていますよね。半年ごとに金利を見直すのだったら、半年ごとにその時その時の6ヶ月物の金利を払うのが、本来の変動金利の払い方です。イールドカーブが右肩上がりであることを前提にすると、半年ごとに10年の長期金利をその都度の市場実勢で支払うという商品は、買い手にとってはものすごく有利で、国債発行側からすると、あまりに高コスト、つまり金利を払い過ぎていて、サービスしすぎな商品ですよね。昔発行していた15年変動利付国債は、1982年度以降、しばらく出ていたんですが、それが一旦全部満期が来てなくなるくらいのタイミングが、1998、1999年ぐらいだったんですよ。 26 ファイナンス 2023 Nov.齋藤通雄氏に聞く、 日本国債市場の制度改正と歴史(後編)
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