ファイナンス 2023年11月号 No.696
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JICA主催の研修の様子 ファイナンス 2023 Nov. 9諸外国当局の職員向けに 徴収共助に関する研修を実施国税庁では、徴収共助制度の導入以来、様々な取組を積み重ねながら、徴収共助の実施を着実に進めてきた。また、足元では日本国内における事務処理体制の拡充や該当事案の的確な把握に着実に取り組んでいる。徴収共助の導入にあたっては、法制の整備から人員確保、さらには職員へのノウハウの伝播など、必要となった労力は相当なものであった。以降、随時にこれらをアップデートしながら、執行体制の改善、ノウハウの蓄積と活用、それからパートナーとなる要請先の外国当局との連携強化などに対応してきた。結果として、前述の実績が表すように、日本における徴収共助の執行を着実に進めてきている。徴収共助のさらなる発展に向けては、徴収共助ネットワークの拡充に取り組んでいく必要がある。この点、国税庁では、前述のように、各種国際会議にコミットして、徴収共助の有効性等を発信している。また、諸外国当局の職員向けに徴収共助に関する研修を行うなど国際的なキャパシティ・ビルディング活動にもコミットし、徴収共助制度の普及に貢献している。総じて、この10年、国税庁では徴収共助制度の実施と発展のために、様々な取組を国内外で展開してきた。他方で、まだ制度導入から10年余りであり、世界的に見ても徴収共助制度の深化は、まだまだ道半ばともいえる。この分野における日本の役割は今後ますます重要になっていく。税制調査会の答申を受け ネットワークの拡充に向けた取組令和5年6月に、税制調査会から「国際的な租税の徴収の観点からは、徴収共助のネットワークの一層の拡充に取り組んでいく必要があります。」との答申がなされている。今後、アジア・イニシアティブ等を通じて、これまで徴収共助を実施していなかった地域で徴収共助の普及が進むと、日本の取組をも一層拡充させていく必要がある。現在においても、韓国、オセアニア、欧米諸国などを中心に、多くの国と徴収共助の要請が可能であるが、経済的な結び付きの強いアジア地域において徴収共助の導入が進むことは、今後、日本における徴収共助のさらなる発展のために必要不可欠であろう。これまでの10年の歩みにおいて、我が国は、多角的な取組によって、徴収共助制度の着実な実施を図ってきた。国際的にも発展途上である徴収共助制度を今後更に発展させるべく、国税庁では、国内の体制等整備を進めながら、国際会議の機会や二国間ミーティングをより積極的に活用し、徴収共助ネットワークの拡充に取り組んでいく。今後の取組さらなる発展に向けアジア地域との 徴収共助のネットワーク構築へ

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