ファイナンス 2023年11月号 No.696
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(千件)4,5004,0003,5003,0002,5002,0001,5001,0005000738平成28※情報交換件数は、各事務年度の提供・受領の件数を合計したものです。CRSによる非居住者の金融口座情報及び国別報告事項の情報交換件数要請に基づく情報交換、自発的情報交換及び法定調書情報の自動的情報交換件数合計 3,565合計 1,8652,5358381,0271,030831平成29平成30令和元合計 4,024合計 3,3833,1562,561822868令和2令和3(事務年度)国・地域数1619401287アジア・大洋州北米・中南米欧州・NIS諸国中東・アフリカ合計受領令和2事務年度口座数国・地域数1,473,200117,291313,5872,8181,906,8961720431494令和3事務年度口座数国・地域数1,644,896216,480325,978313,3102,500,664提供令和2事務年度口座数529,86443,35473,0744,266650,558121339670令和3事務年度国・地域数口座数536,65040,74467,9766,424651,794121642777CRSによる非居住者の金融口座情報の自動的情報交換件数租税条約等に基づく情報交換の件数の推移徴収共助に繋がる情報を把握し、 分析することが重要徴収共助の要件を満たす場面が限定的である中で、徴収共助制度の枠組みをフル活用していくためには、その要件が満たされる事案があれば、確実にこれを要請していくことが求められる。このためにも確実に徴収共助に繋がる情報を把握し、これを分析していくことが肝要となる。この点、常日頃の国内における徴収事務において、外国の財産の把握等を的確に進めることが重要となる。これに応える取組として、国税庁では国税局徴収職員への研修等を行っている。いつ、どこに、どのようにアンテナを立てる必要があるのか、実地でのOJTはもとより、機を捉えたインプットを職員全体へ広く情報発信しているほか、国際的な滞納事案等を専門で扱う職員に対しては、東京局・大阪局の豊富な経験を有効に活用しながら、より実務的なスキルアップに取り組んでいる。国際的な徴収に繋がる財産情報などの収集・分析にあたっては、国内での滞納整理に係るプロセスによるもののみならず、租税条約等に基づく情報交換など外国当局との情報のやり取りによるものもある。特に、平成26年に策定された共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)によって、収集できる情報の質量が拡充された。このCRSとは、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供するものであり、平成30年9月までに初回の情報交換を行うこととしていた。規模感のイメージとして、令和4事務年度の実績を紹介しておこう。国税庁では、令和4年7月から令和4年12月までに、日本居住者のCRS情報約257万件を95か国・地域の外国税務当局から受領し、外国居住者のCRS情報約53万件を76か国・地域の外国税務当局に提供した。これらのCRS情報には課税調査に有用な情報も含まれるが、滞納者の口座情報など、徴収共助に繋がる情報も含まれている。被要請国の協力を得るため 適宜にミーティングを開催このように徴収共助の要請に繋がる情報を得て、分析し、要請に繋げられたとしても、被要請国において、的確に徴収プロセスができない状況では、要請国である日本の独りよがりに終わってしまう感は否めない。当然ながら、徴収共助の実施には、被要請国の協力が不可欠である。そのため、国税庁では被要請国当局と緊密に連携するべく、二国間ミーティングを適宜に実施している。例えば、要請内容を被要請国に説明し、被要請国に事案の緊急性や支援の必要性について理解を求めるほか、被要請国の徴収手続に必要な情報をタイムリーに共有するなど、被要請国における円滑 6 ファイナンス 2023 Nov.

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