ファイナンス 2023年10月号 No.695
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輸出入申告データによる日本の貿易の実態解明と通商政策の影響に関する研究日本企業の建値通貨選択・為替パススルー・貿易数量の決定要因分析輸出入申告データを用いた租税逋脱・回避の研究企業の生産性・競争力と国際ネットワーク第1期共同研究(2022年春~)~企業内貿易の拡大は為替変動のインパクトを変えるのか?~第2期共同研究(2023年春~):通関データと企業データを接合した実証分析【研究テーマ】ファイナンス 2023 Oct. 87PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 24具体的な取り組みとして、財務総研では2022年春以降、財務省が実施した公募を通じ決定された外部研究者との共同研究を実施しています。税関業務においては、もちろんこれまでも輸出入申告データを活用してきましたが、外部の有識者を国家公務員として任命して、国際貿易や国際金融等に関する学術研究という手段を通じて、財務省の行政目的の達成を目指すいう意味で、全く新しい取り組みです。共同研究の実施に際しては、輸出入申告データが有する秘密情報の保護の観点から、研究従事者には国家公務員としての守秘義務が課され、またデータへのアクセスは財務総研の施設内でのみ可能とする等の厳格なルールが設定されています。2023年9月現在、公募を通じて採択された、以下4件の共同研究を実施しています。第1期共同研究の成果は、財務総研のディスカッション・ペーパーとして既に公表されておりますので、ご関心のある方は是非財務総研のウェブサイトからご覧いただければと思います。また、ファイナンス2023年3月号のPRI Open Campusには、共同研究に参加している研究者の方々へのインタビュー記事を掲載しておりますので、こちらも是非ご覧ください。【現在実施中の共同研究】【共同研究成果物の掲載場所(財務省ウェブサイトへのリンク)】https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/kyoudou/seika/1st/index.html過去の「PRI Open Campus」については、 財務総合政策研究所ホームページに掲載しています。https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/index.html POLICY RESEARCH INSTITUTE, Ministry Of Finance, JAPAN財務総合政策研究所【コラム2】輸出入申告データ用いた共同研究について近年財務省は、保有するデータを最大限利活用するため、税関の輸出入申告データを、財務省の政策の検討に資するための学術研究に活用する取り組みを進めています。輸出入申告データとは、日々税関に対して行われる輸出入申告の情報をデータ化したもので、個々の輸出入申告における輸出入者や貿易相手、貨物の価格や品名等の情報が含まれています。取引品目やその単価等、保秘が求められる情報もあり、取り扱いには十分な注意が必要である一方、ここに含まれる情報を分析することにより、財務省の政策の検討に資する様々な知見が得られる可能性があります。

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