ファイナンス 2023年10月号 No.695
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2022(注)各年に合法的に永住資格を取得した者の数。会計年度(前年10月~当年9月)20202018201620142012201020082006200420022000199819961994(出所)米国国土安全保障省「Yearbook of Immigration Statistics 2022」(注)移民とは、出生時に米国市民でなかった米国居住者で、この母集団には、帰化市民や合法的永住移民のほか、難民や合法的非移民(学生ビザ、就労ビザ、その他の一時的なビザを持つ者を含む)、無許可で米国に居住する者も含まれる。(出所)Migration Policy Institute移民ビザの名称家族に基づく移民ビザ親や子供等の永住権保持者との関係に基づいた制度。雇用に基づいた制度。芸術・スポーツ、専門家、熟練労働者、非熟練労働者等5つの優先カテゴリーに分類される。また、家族の同伴も認められる。米国外から養子縁組した際の制度。雇用に基づく移民ビザ国際養子縁組移民多様化ビザ  等米国への移民率が低い国の出身者を対象にした(出所)米国大使館、米国国務省20018016014012010080604020019901992ベース。16141210864201950制度。応募者の中から抽選で選ばれる。1960197019801990制度の概要2022年101.8 万人2021年13.6%2000201020152021ファイナンス 2023 Oct. 71*1) 本稿では特段の断りのない限り、難民も広義の意味で移民に含む。*2) 国連「World Population Prospects 2022」*3) 在日本米国大使館HP。*4) 移民の定義が「流入数」と「割合」で異なる点に留意。詳細は図表2と図表3の注釈を参照。*5) Deferred Action for Childhood Arrivals。幼少期に親に連れられて不法入国した若者への強制退去を猶予する措置。【図表1】米国の移民ビザの種類【図表2】米国の移民流入数(万人)【図表3】米国人口に占める移民の割合(%) 米国は移民*1の国である。遡ること1620年、イングランド王ジェームズ1世による弾圧から逃れるためピルグリム・ファーザーズが米国の地に上陸したことからその歴史は始まり、今や世界第3位の人口を有する。さらに、こうした移民の存在もあり、米国の出生率は人口維持に必要とされる水準を下回っているにも関わらず、今後も人口増加が続くことが見込まれている*2。本稿では、米国建国の礎であり、人口増加の源泉とも言える移民に焦点を当て、その動向や経済への影響を紹介する。米国では、【図1】に例示したように様々な移民ビザが存在し、移民ビザを取得すると入国が許可された時点で米国永住者又は条件付永住者の資格を得られるとされる*3。このような制度を通じて米国では毎年100万人程度の移民が流入しており、ここ10年間ではオバマ政権時にピークに達した。その後、2017年のトランプ政権の発足、2020年の新型コロナウィルスの世界的な流行を経て流入数が減少したが、2022年時点での流入数は100万人程度まで回復している。また、人口に占める移民の割合*4は2021年時点で13.6%である。近年では伸びは緩やかであるが、長期的見て上昇傾向にあり、今後米国での移民の存在感が益々高まっていくことが予想される。2021年1月の政権交代以降、バイデン大統領は難民受入の上限数の引き上げ、DACA*5の維持など、ト1.はじめに2.移民の動向海外経済の潮流 146大臣官房総合政策課 海外経済調査係 岩松 大洋3.バイデン政権の移民政策米国を支える移民

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