ファイナンス 2023年10月号 No.695
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ファイナンス 2023 Oct. 65【中山団長による岸田総理からの差入れ】【ラブショット一例】【選手バナー交換】【MVPトロフィー授与】いざ、新時代へ! 5.全体懇親会試合を終えて両チームともリラックスした状態で和やかに全体懇親会は始まった。積極的に日本選手に絡んでくる韓国選手たち、若干、人見知りな日本選手団という構図は5年経っても変わらない。少しずつお酒も入り打ち解けてきたところに、ちょうど中山名誉団長が到着し、岸田総理からの差入れが両選手団にふるまわれる。日中の日差しもかなりやわらぎ、海風の涼しさと少しばかりの夕日が感じられる雰囲気の中、和やかな雰囲気で閉会式は始まった。審判委員長の講評では、両チームともに相手にリスペクトを持った戦いであったこと、また、両チームからサッカーを愛することが伝わる戦いであったことが評された。中山名誉団長の閉幕の言葉においては、現役戦は2引分けに終わったため、決着は夜の部の懇親会で決めることが宣言された。参加者一同、岸田総理からの差入れである朝鮮人参酒が頭をよぎる中、大会は終了した。まずは、両国選手団による相手国選手団のMVP発表。日本選手団からは殊勲の同点ゴールを挙げた玄番が選出され、韓国選手団からはカウンターの起点となり日本ゴールへ迫り続けたベ・テラン選手が選出され、両者による“ラブショット”が行われた。玄番選手は、当初全体懇親会は欠席の予定だったが、全体懇親会が本当の試合だと聞かされて急遽参加したところ、MVPを獲得するという強運の持ち主だ。また、韓国選手団に確認したところ、ベ・テラン選手は韓国企画財政部に採用されたばかりの若者であり、大会直前で急遽不参加となった選手の代理で来日してMVPを受賞するという「持ってる」漢である。しかし、かなりの若者なのに「ベテラン」という名前なのも持ってると思わざるを得ない。。。来年もぜひ対戦して抑え込みたいものだ。MVPのラブショットに引き続き、各国幹部から署名をいただいたバナーを代理に指名されたものが交換する都度、ラブショットは繰り広げられ、5年間の休止期間に自然と築かれた心の壁はあっという間に崩されていく。その後も、各選手団の自由なバナー交換とそれに伴うラブショットが続き、熱戦はなかなか終わらない。ついに、坂口主将が耐え切れず倒れたところで、中山名誉団長より試合終了のホイッスル。中山名誉団長からは、夜の部の死闘においても両国は相譲らず引分けに終わった旨が宣告され、永遠のライバルとの勝敗は翌年、ソウルにおいてつけられることが約束された。こうして、第18回日韓戦は、最後まで中山名誉団長の指揮のもと締まりのあるまま終わり、会場を後にした選手たちは、それぞれ葛西の闇夜に消えていったのだった。(4)閉会式

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