ファイナンス 2023年10月号 No.695
57/102

(出所)日本政策投資銀行プレスリリース名称組成日所在地ファンド総額500億円(当初)※対象優先配当率投資期間存続期間※ 令和3年11月末に800億円に増額。DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合2021年3月31日東京都千代田区中堅・大企業の飲食・宿泊業等の発行する償還型無議決権優先株式4%(別途アップフロントフィー0.5%)1年(最大2年延長可能)10年ファイナンス 2023 Oct. 53*20) なお、「DBJ飲食・宿泊支援ファンド」のGPについて、その後令和3年11月に政投銀の完全子会社である「DBJ飲食・宿泊サポート株式会社」にその立場を譲渡。*21) 優先株とは、種類株式の一種で、他の株式に比べて会社清算時の残余財産を優先して受ける権利等を有する一方で、議決権に一定の制限が付された株式のことを言う。*22) 日本政策投資銀行「危機対応業務の実績及びDBJ飲食・宿泊支援ファンドの増額について」 https://www.dbj.jp/upload/dbj_news/docs/3bb7c6227a2301cb38bfc4badc93fe68.pdf(図7)飲食・宿泊ファンドのスキーム図新型コロナにおける中堅・大企業に対する政策金融支援について(表4)「DBJ飲食・宿泊支援ファンド」の概要(設立時) (v)「DBJ飲食・宿泊支援ファンド」の設立政投銀の子会社である「DBJ地域投資株式会社」がGP(GeneralPartner:無限責任組合員)となり、「DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合」を組成し、政投銀が日本公庫からの損害担保付きツーステップローンを原資として同ファンドに対して危機対応融資・LP(LimitedPartner:有限責任組合員)出資を実施した。*20飲食業・宿泊業の中堅・大企業に対して優先株の引受け等の支援を実施しており、*21企業の負担を軽減する観点から、年間配当率は8%が市場水準であるところ、半分程度の4%に設定している。当初は、ファンド総額を500億円としていたが、案件の申込状況等を勘案して、令和3年11月末に800億円に増額している。*22その後、「危機対応業務」の終了までに、大規模居酒屋チェーン等やホテルチェーン等の中堅・大企業に対して、計11件、575億円の優先株の引受けによる支援を実施している。上記の取組を通じて、「危機対応業務」の終了までに、中堅企業及び飲食・宿泊業等の大企業に対して、計121件、2,715億円の金融支援を実施した。「危機対応業務」全体で見ても、令和2年度の融資実行額に占める飲食・宿泊業の割合が2.6%であったのに対して、飲食・宿泊業支援を開始した後の令和3年度は(9月末時点の年度累計の実績であるが)80.7%を飲食・宿泊業に対する融資が占めており、政府方針を受けた政投銀の飲食・宿泊業に対する集中的な支援が実績となって表れている。

元のページ  ../index.html#57

このブックを見る