ファイナンス 2023年10月号 No.695
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(※)実施機関の貸出金利は、当初3年間1%を上限とする(注)中堅企業(資本金10億円未満で中小企業ではない法人)向けには当初3年間▲0.5%利下げを行ってきたところ、利下げ幅を拡大。主たる事業として営む者」が対象となる。(※2)実施機関の貸出金利は、当初3年間1%程度とする。(出所)財務省「新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の皆様へ~政策金融と国税の取組の御案内~【第六版】」〈大企業向け〉貸付金の種類対象大企業金利の引下げ幅融資(シニアローン)全種類の事業者中堅企業当初3年間▲1.0%融資(シニアローン)飲食・宿泊等の事業者(※1)当初3年間▲0.5%資本性劣後ローン当初3年間▲2.0%(※)資本性劣後ローン当初3年間▲1.5%(※2)(※1)具体的には、「飲食店業、旅館業その他これらに類する業種に属する事業を*17) 内閣官房「新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議」 *18) 財務省ほか「飲食・宿泊等をはじめとする事業者等への資金繰り支援等について」 *19) 日本政策投資銀行「飲食・宿泊等をはじめとする事業者に対する日本政策投資銀行の支援策強化について〜政府の要請を受けた資金繰り支援や資本性 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/corona_hiseiki/index.htmlhttps://www.mof.go.jp/policy/■nancial_system/■scal_■nance/torikumi/20210325_yousei.html資金による支援の拡充〜」https://www.dbj.jp/topics/dbj_news/2020/html/20210331_203199.html 52 ファイナンス 2023 Oct.(iii)「危機対応業務」における「民間協調融資原則」の一時的な停止従来は、「危機対応業務」は、政策金融による民業圧迫を避ける観点から、民間金融機関と原則協調して融資を行うことが、危機対応業務に係る大臣告示で規定されていた。しかし、新型コロナの先行きが依然不透明な中、特に大きな影響を受けていた飲食・宿泊業に対する民間金融機関の融資審査姿勢が慎重であったことから、民間協調融資原則が政投銀の迅速な支援の実行に対して制約となってしまった。そこで、大臣告示を改正し、民間協調融資原則を一時的に停止し、飲食・宿泊等以外の分野も含め、政投銀が単独で積極的な支援を行うことを可能にした。(iv)中堅企業及び飲食・宿泊等の大企業に対する、利子補給等を通じた資本性劣後ローンの金利負担の軽減従来は、資本性劣後ローンについて、中堅企業に対して当初3年間金利を▲0.5%引き下げていたが、事業者負担低減を図る観点から、中堅企業(全業種)に対して資本性劣後ローンの利下げ幅を拡大し、当初3年間の金利の上限を1%とするとともに、飲食・宿泊等の大企業に対しても、資本性劣後ローンの当初3年間の金利を1%程度とした。(表3)利子補給を活用した金利の引き下げ〈中堅企業向け〉貸付金の種類対象金利の引下げ幅新型コロナの影響が1年超と長引くにつれて、飲食店の利用や人の移動等に対する行動制限を政府が要請したこともあり、多くの雇用を担ってきた中堅以上の規模の多店舗型の飲食・宿泊業者等を取り巻く経営環境が一段と厳しさを増した。そのような状況を受け、令和3年3月に、首相官邸において、「新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議」が開催された。3月23日の会議において、菅総理(当時)より、「多くの雇用を担ってきた飲食・宿泊事業者などの事業の継続を支援するために、政投銀による支援の強化をはじめとした金融面での支援策を決定」した旨が発言された。*17同方針を受け、3月25日には、財務省から政投銀に対して、「これまで多くの雇用を担ってきた飲食・宿泊等をはじめとする事業者において影響が深刻化していること等を踏まえ、引き続き事業者の業況を十分に把握した上で、資金繰り支援や資本性資金による支援にこれまで以上に全力を挙げて丁寧かつ迅速に対応」することを要請した。*18政府からの同要請を受けて、政投銀は、特に深刻な影響を受けている飲食・宿泊業をはじめとする事業者に対する支援を強化する観点から、以下の方針を公表した。*19内に「飲食・宿泊専門チーム」の立ち上げそれまで、政投銀はサービス業である飲食・宿泊業への与信実績が必ずしも蓄積されていなかったが、専門チームを設立し、集中的にそれらの産業への対応を行う体制を整えた。一層の迅速化専門チームを活用し、飲食・宿泊等の事業者に対する審査期間を原則1ヶ月程度に短縮した(必要な審査書類等が事業者から提出されるまでの期間は除く)。(3)飲食・宿泊業等への支援強化(i)「危機対応業務特別対応室」の新設及び同対応室(ii)特に飲食・宿泊等の事業者に対する審査期間の

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