ファイナンス 2023年10月号 No.695
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(出所)財務省(出所)財務省広報誌「ファイナンス」令和2年7月号より作成(注)上表の貸付条件は、ファイナンス掲載時(令和2年7月時点)のものである点に留意。貸付限度額利率貸付期間民間の協調融資等資本性の有無今般の制度上限なし指定金融機関が個別に決定中堅企業向け:▲0.5%利下げ(当初3年間)長期一括償還(貸付期間5年超で、事業者のニーズに応じて個別に決定)原則同額以上(参考)東日本大震災時の制度20億円中堅企業向け:黒字時4.05%赤字時0.4%大企業向け:黒字時3.8%赤字時0.4%10年一括償還原則1.5倍以上○○0 ファイナンス 2023 Oct. 51(図6)「危機対応業務」の残高の推移新型コロナにおける中堅・大企業に対する政策金融支援について(億円)30,00025,00020,00015,00010,0009,5195,000上半期27,2748,357下半期上半期2019年度28,05727,906下半期上半期2020年度2021年度27,82425,997下半期上半期2022年度24,979下半期https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0514kaiken.html*14) 首相官邸「令和2年5月14日 新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見」 *15) 財務省「令和2年度第2次補正予算における財政投融資計画の追加について」 *16) 財務省広報誌ファイナンス令和2年7月号「特集:新型コロナウイルス感染症にも素早く対応 民間金融機関と協調して企業を支援する政策金融」を参照。 https://www.mof.go.jp/policy/■lp/plan/fy2020/r02hosei/zt003.pdfhttps://www.mof.go.jp/public_relations/■nance/202007/202007c.pdf今回の新型コロナに対する政投銀の資本性劣後ローンの貸付条件について、従来の資本性劣後ローンよりも緩和されたものとなっており、例えば、東日本大震災時の制度では貸付限度額が20億円だったが、今回の制度下の資本性劣後ローンにおいては貸付限度額の上限はない。*16また、金利について、資本性劣後ローンの供給を開始した令和2年6月当初においては、「政投銀が個別に決定するものの、大企業に比べて信用力の観点で金利が高くなりがちな中堅企業に対しては、当初3年間▲0.5%利下げする」こととしていた。(表2)政投銀の資本性劣後ローンの貸付条件(2)資本性劣後ローン新型コロナの影響が数ヶ月に及ぶ中、中長期的には持続可能であるものの一時的な業績悪化により自己資本が減少し、民間金融機関からの追加融資が困難となっている事業者等から、財務基盤強化を目的とした資本性資金に対する需要が高まった。そのような状況を踏まえて、安倍総理(当時)が、令和2年5月14日の「新型コロナウイルス感染症対策本部」において、令和2年度第2次補正予算の編成を指示するとともに、事業者への金融支援について、「資金繰り支援の更なる充実に加えて、機動的に十分な規模の資本性の資金を投入することも可能とし、事業の存続を強力に下支えする。」方針を表明した。*14令和2年6月12日に成立した令和2年度第2次補正予算においては、新型コロナで影響を受けた企業の財務基盤を強化し民間金融機関との協調金融支援を促すことを目的として、危機対応業務を拡充して、中堅・大企業向けに、金融機関の資産査定上自己資本とみなすことのできる資本性劣後ローン(事業規模は、商工中金と合わせて全体で約5兆円)を駆使した金融支援を実施することが打ち出された。*15

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