*8) 財務局ホームぺージの「全国財務局の取組」https://lfb.mof.go.jp/renkei/torikumi.html 30 ファイナンス 2023 Oct.それを外向きにも説明していく必要があるのではないかと考え、各財務局において、地域連携の取組方針をホームページに掲載することにした*8。自分たちは何がしたいのか、まず発表してみるということが基本的な発想である。それに基づき、相手方は「財務局はこういうことでやりたいと言っているので、それだと自分たちのニーズとこういうところで重なるから、協力求めていこう」と考えるのが自然だ。まずは、財務局が「自己紹介」をしないと相手方もどうやってアプローチをしたらよいかわからない。そこで、各財務局において令和3(2021)事務年度をかけて1年間ブラッシュアップした取組方針の概要について、対外的に公表する取組みを行ったものである。則ち、財務局が地域において何をもって貢献できるかよく考えた上で、「自己紹介」をし、まずは、自分達がやっていきたいことを外向きに発表し、財務局がやれることや強みが分かれば、アプローチのありようも広がる、というような発想である。筆者が、前回地方課長だった平成26(2014)事務年度に、「全国財務局の地域連携事例集」を初めて作ったが、これは、「こういうことやりました」という結果報告なので、「こういうことをやりたいと思って取り組んでいます」ということをよりオープンにしたほうがよいと考えた。令和3(2021)事務年度に、地域の関係者に広くアンケートを取ってみたところ、財務局に関係している方や地域連携の取組みを知っている方は、財務局のことを認識していたが、財務局というものも知らない人も多いということであった。なお、このようなネットワークを構築して連携して行政課題に対応する動きは、様々な行政分野で行われている。関連する多様な分野の行政機関の連携によって、行政サービスの質の向上を図る「多機関連携」と呼ばれている(参照:『多機関連携の行政学』)。イ.広報及びネットワークの構築財務局の広報の目的は大きく二つあり、一つは、財務省や金融庁の施策を広報することであるが、もう一つは、財務局自体がどういうところか知ってもらうことである。この財務局自体を知ってもらう取組みが、コロナ禍もあり、結果として稀薄になってしまったのではないかと考えた。そのため、上述のとおり、各財務局で、地域連携方針を発表したほか、財務局がどういうところか、多くの人に知ってもらうということについて、令和4(2022)事務年度は取組みを進めようと考えた。この間、平成4(1992)年に創設した全国一律の財務行政モニター制度が廃止され、その後の代替制度がない局も散見された。このため、地域のステークホルダーに、年に数時間ぐらいは財務局のことを考えていただく機会を設けるように各財務局での取組みを進めていただいた。その一つとして、前述のとおり、地域連携に関する中期計画を作るため、今後計画についてPDCAを回していく過程において、地域の有識者やステークホルダーに計画の進捗状況や取組内容を説明し意見を伺うなどの取組みを進めた。一方、地方課では、例えば、政府系金融機関であるDBJ(日本政策投資銀行)をはじめ、個別の大学などで、ネットワーク構築に向けた取組みを進めた。地方創生の取組みの当初は、「産官学金労言士」という言葉が言われていた。財務局のネットワークはそれぞれの財務局のおかれた条件などもあり、強いところもあり、弱いところもある。地方課においては、それを補完しながら、個別の事情も踏まえて、ネットワークの充実化を進めた。地方課業務調整室では、「財務局所掌事務考査規則」等に基づき、効果的・効率的な行政の実現、適正な業務執行を確保するため、財務局事務の事務運営及びその執行状況等の考査を行っている。今事務年度の事務考査は「文書管理」をテーマとした。本誌2022年9月号で、令和3(2021)事務年度に務めた公文書監理官として、電子的管理について記事を投稿したが、そこで記述したように、文書管理や文書主義、則ち文書による行政というのは、官僚制の本質だと認識している。「官僚制」は、公務員だけでなく、民間でも同様で、組織が安定的な業務運営をしていくためには、文書を作成のうえ意思決定し記録を残しておくことが(4)事務考査
元のページ ../index.html#34