ファイナンス 2023 Oct. 29*7) 財務省再生プロジェクト 進■報告(2023年6月23日)13頁〜14頁令和4(2022)事務年度の地方課の取組みについて 要がある。個人的には、ICTによる業務効率化の成否が組織の今後の盛衰にも関わるのではないかとも思っている。財務省本省も試行錯誤の状況ではあるが、財務局においても令和7(2025)年に予定されるクラウド化で様々な業務の効率化に繋がるような準備が極めて重要な段階にきていると考える次第だ。これについては、本誌2023年7月号において『「財務局の使命と目指す職員像」について』というSPOT記事で紹介しているので、詳しくはそちらに譲りたいが、問題意識としては、財務省再生プロジェクトや様々な行政改革の関係で、平成21(2009)事務年度に策定した「財務局の使命と主な業務」が大きく変貌しているのではないかと考えた。先立つ令和3(2021)事務年度は、「地域連携の深化」というテーマをたて、ここ10年ぐらい取り組んできた地域連携の取組みを整理してとりまとめを行った。そうしたことを踏まえ、財務省の組織理念にも立ち返って見直しを行ったものである。筆者としては、特に人材育成に問題意識を持っており、「求められる職員像」をもう一度考え直してみて、それに合った人材を育成していく必要があるのではないかと強く感じた次第である。また、財務局が地域連携に取り組む際、パートナーとなる地域のステークホルダーなどが財務局に要請したいと思うことは何なのか、また、協力を求められる側の財務局の強みは一体何か、もう一度突き詰めて考える必要があるのではないかと考えた。さらに、財務局はどのような強みがあって、どのようなことができる組織か、外部の人にわかるように伝えることは非常に大切ではないだろうか。加えて、財務局にはどのような強みを持った人材が揃っているか、言えるようにしておくことが重要だと考えたのであった。平成21(2009)事務年度に財務局のあり方については、財務局の使命が明確化されたことを踏まえて、平成25(2013)年6月に事務次官から財務局全職員に対して機能強化と地域連携に関するメッセージ「財務局の皆さんへ(財務局の機能強化と地域連携の推進)」(後掲)が発信され、財務局職員の地域連携推進に対する意識の醸成を図った。今回の「財務局の使命と目指す職員像」・「主な業務」の見直しは、地方課が財務局職員と意見照会や意見交換等の対話の機会を得ることにより、地方課側の職員にとっても地方課が何のために仕事をしているのかをあらためて意識する「気づき」の機会にもなった。今後は、その浸透と実践に向けて、財務省再生プロジェクトにおける「組織理念を踏まえた意識交換会」*7のテーマの1つや研修内容に盛り込んでいくこととしている。令和4(2022)事務年度では、経済安全保障や、また、本年4月からの相続時の国庫帰属制度も実際に動き出すなど、毎年、財務局では、新しい業務が増えている一方、財政事情が厳しい中、新規業務に応じた定員を十全に確保することがなかなか難しい状況にあることは遺憾ながら間違いのないところではある。前述のBPR、則ち、思い切った業務の見直しや、マネジメントとしての、資源配分の変更などを行いながら、組織として求められているものをメリハリをつけて遂行していく必要がある。従来、財務局においては、提案制度に基づき業務改善提案を行ってきたが、提案制度についても、こうした問題意識から、財務局の使命などに立ち返り、どのような改善をしていけばよいかという視点を深めた方がよいのではないかと考えた。具体的には、提案制度に関し、特に幹部職員が、部局を跨いだ改善提案に主体的に関与することを促すべく、関連通達の見直しを行った。前述のとおり、令和3(2021)事務年度に、地域連携とはどういうものかについてここ10年間の取組みを整理したところである。各財務局の地域連携の取組みの中長期的一貫性の確保の観点から、令和4(2022)事務年度から各財務局で地域連携に関する中期計画を作成することになった。(1) 「財務局の使命と目指す職員像」・「主な業務」の見直し(2)業務の見直し(3)財務局の認知度向上に向けてア.地域連携
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