【参考】国際的な潮流「税務行政3.0」の描く世界ファイナンス 2023 Oct. 25【序文より】近年、デジタル機器や新しいコミュニケーションチャネル、内外におけるデータソースの大幅な増加により、納税者サービスの改善や、コンプライアンス確保策の重点化(bettertargetourcomplianceactivities)を図ることが可能となった。これにより、税務行政の効果と効率が確実に向上してきた一方、我々OECD税務長官会合は、将来の税務行政について、能動的かつ時に負担の大きい納税者の自発的なコンプライアンスと、ノンコンプライアンスに対処するため資源を集約した税務調査とに依存した現在のアプローチから大きく転換するような姿を見据えている。・納税者が日ごろ利用する業務システムとの連携により簡便かつ正確な納税が可能に・その結果、ノンコンプライアンスは、意図的かつ手間暇がかかるものに収れん・企業やプラットフォーマーなどといった信頼できる主体が、消費税や源泉徴収の仕組みに加えて税務行政の一部の役割を担う・税務当局はそのような民間の仕組みとも連携し、プロセスと結果においてコンプライアンスが確保されていることを確認する・システム連携や源泉徴収、納税専用口座などにより、リアルタイムに近い形で正確に課税関係を確定することが可能に・納税者にとって、どの情報に基づきどのような課税が行われるかの把握が容易に・行政当局間及び民間とのデータ連携により、様々な行政手続をシームレスに行うことが可能に・納税者中心の視点が税務行政プロセスの構築と管理の上で重要となる・重要なのは、人のスキルとAIなどのサポートツールを融合し納税者の誤りを防ぎ、コンプライアンスを高めること・人とテクノロジーの協調により、社会経済の変化に適切に対応OECD報告書「税務行政3.0」(TaxAdministration 3.0、OECD(2020))抜粋(国税庁仮訳)Ⅰ目指す姿と取組の方向性(参考)図13 国際的な潮流税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(解説記事)掲載先はこちら(国税庁HP) 税務行政は、…1納税者の日常生活・業務の延長線上に組み込まれるEmbeddedwithintaxpayernaturalsystems2企業やプラットフォーマーが共同して税務行政の一部の役割を担うPartofaresilient“systemofsystems”3リアルタイムに近い形で課税関係を安定させるReal-timetaxcertaintyprovider4透明で信頼性が向上するTransparentandtrustworthy5税務行政が官民を合わせた政府の機能の一部となるAnintegratedpartofwholeofgovernment6人とハイテクが融合した組織となるAhumantouchandhightechadaptiveorganization6.おわりに以上、「将来像2023」の概要について説明してきましたが、こうした方向性は、国際的な潮流でもあります。例えば、OECDが2020年に公表した「税務行政3.0」(OECD, Tax Administration 3.0)においては、税務行政のDXが進んだ社会の姿として、税に関する手続が納税者の日常の生活や業務の延長線上に組み込まれていくとの構想が描かれています。そして、こうしたことが実現できれば、税務手続の簡便化、手続的な負担の軽減、誤りの防止、税務コンプライアンスの向上、官民双方のコスト削減、生産性の向上が期待できるのではないかとされており、各国においても税務行政のDXの取組が進められています。国税庁としましては、こうした諸外国における取組なども参考としつつ、納税者の皆様をはじめ、税務に関連する多くの主体の皆様の声を踏まえながら、デジタルの利点を最大限活かし、本来の任務である「適正・公平な課税・徴収の実現」に加えて、「社会全体のDX推進」の観点からも社会に貢献してまいりたいと考えております。※ 「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2023-」の全体版についてもぜひご覧ください。
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