ファイナンス 2023年10月号 No.695
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確定申告関係書類チャットボットのUI/UXの改善カスタマージャーニーの具体化(給与所得者の例)給与所得者(35歳会社員)の申告手続ToBe(将来像)将来イメージファイナンス 2023 Oct. 17実際に納税者が「申告要否や手続を調べ、相談し、申告・納付する」といった一連の流れ全体を俯瞰し、最適なUI/UXの改善を図っていくため、想定される典型的な納税者像(ペルソナ)を設定し、当該ペルソナが税務手続を行う際のカスタマージャーニーを具体化することにより、現状の問題点を可視化します。※本ページは、一つの例として、給与所得者をペルソナとしたカスタマージャーニーマップを掲げています。フェーズ所要時間ツールコンテンツ改善策納税者の行動納税者の感情きっかけ5分(合計1時間)LINEプッシュ型の情報配信個々の納税者の状況に応じたプッシュ型の情報配信を行う。国税庁から住宅ローン控除の情報を受信住宅ローン控除に関する情報が届いたぞ。調べる15分国税庁HP・e-TaxHP国税庁HP等のUI/UXの改善国税庁HP等の類似の内容のページを整理する。国税庁HP等のUI/UXを改善する。知りたい情報のページへアクセスページを見て、必要な手続を理解知りたい情報にスムーズにアクセスできたな。ページの内容が分かりやすいな。申告準備15分スマートフォンオンライン手続への案内手続に必要な書類をイメージしやすくなるよう説明の見直しを行う。オンラインによる手続の案内を適切に行う。必要な書類をイメージした上で用意案内に沿って作成コーナーへアクセス必要な書類をイメージすることができるから探しやすい。スムーズに作成コーナーへアクセスできて簡単だ。マイナポータル申告書の作成連携10分マイナポータル確定申告書等作成コーナー・e-Tax日本版記入済み申告書の実現作成コーナーのUI/UXを改善する。マイナポータル連携の対象を拡大する。事前設定が簡単かつ、短時間で完了するよう改善する。マイナポータル連携の事前設定が完了作成コーナーで申告書を作成不明な点は、チャットボットに質問事前設定も簡単だし、給与の情報も自動入力されて便利だ。説明も分かりやすいし、スムーズに進められるな。不明な点はチャットボットで解決できて便利だ。調べる申告書の提出15分チャットボット完全e-Tax申告コンテンツ間のシームレスな連携を行う。納税者の質問に正確に回答できるようチャットボットを改善する。作成から送信までの流れの中で、必要な書類を全てデータで提出できるように改善する。申告書と必要な書類をe-Tax送信作成から提出までスマートフォンで完結できて便利だ。Ⅱ納税者の利便性の向上図2 カスタマージャーニーの具体化(給与所得者の例)税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(解説記事) これまでも、自動入力の対象データについては、公的年金等の源泉徴収票データや医療費の支払額データを対象とするなど、順次対象を拡大してきましたが、令和6年2月(令和5年分確定申告)からは、給与所得の源泉徴収票に係る給与情報の自動入力を実現することとしています。確定申告をする方の過半数を占める給与所得者において自動入力が実現すれば、納税者の利便性の向上のみならず、社会全体の効率化にもつながり、我々が掲げる「日本版記入済み申告書」の実現に向けて大きく前進することが期待されます。なお、この給与情報の自動入力については、令和9年2月以降は地方公共団体に提出された給与支払報告書のデータが連携される予定となっていますが、令和6年2月からは、まずは「給与支払者がオンラインで税務署に提出した給与所得の源泉徴収票」のみが連携の対象となります(※)。したがって、当面(令和8年まで)の連携対象は、基本的には、税務署への給与の源泉徴収票の提出範囲である「年間の給与等の支払金額が500万円を超えるもの」等に限られることとなりますが、500万円以下の給与に係る源泉徴収票であっても、e-Taxで提出された場合には自動入力の対象とすることとしています。いずれにしても、従業員がより便利に申告できるよう、給与支払者において、給与所得の源泉徴収票のe-Tax提出(認定クラウド提出等を含む。)に協力していただくことが重要であり、これについては、デジタル庁や関係団体等とも連携しつつ、本取組の周知広報等にも積極的に進めていきたいと考えています。(※) 現在、給与支払者は、国(国税当局)には源泉徴収票を(年間支払500万円超の者に係るもの等)、地方公共団体には給与支払報告書を(金額基準なし)、それぞれ提出することが求められていますが、令和9年以降は、地方公共団体に給与支払報告書を提出すれば国への源泉徴収票の提出は不要とされ、その提出された支払報告書の全データが国に連携されることとされています(令和5年度税制改正)。自動入力の対象拡大に向けた工程表は図のとおりであり、例えば、生命保険料の支払額やふるさと納税の寄付金額に関するデータについては、既に申告データに自動で取り込むことが可能となっています。しかし、実際に自動入力を実現するためには、生命・損害保険会社やふるさと納税の仲介業者などに、対象となる情報をデータで発行してもらう必要があります。今後は、こうした対応をしていただける事業者の数が順次増加するように取り組んでいくこととしています。

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