眞鍋かをりさん かなり民主的な職場になっているんですね。財務省にはブラックなイメージもありましたが、先ほどのコンプライアンスの確保も含めて、時代の変化に応じて変わってきているんだなと感じます。ちなみに、ママ友とかとお話ししていて、そういった面で「財務省」について、世間とのギャップを感じることはありますか?恵﨑室長 難しいことをやっている人、みたいに思われてしまうことはあります。自分としてはとても普通な感じではあるのですが…(笑)眞鍋かをりさん 話しているとすごく普通であることを実感できます。財務省が牛耳っているみたいなイメージが世間では流れていますが、こんなにざっくばらんにお話しできると思っていませんでした(笑)。高橋主査 確かに、悪役みたいに描かれることが多く、財務省の人間って一体どんな奴らなんだと思われていることが多いですが、実際働いている人間は実はこんな普通な感じでして。主計局の主査になると数千億円という単位の予算を担当させていただくことにもなりますが、やっていることは結局沢山の人や相手省庁に話を聞いて議論を積み重ねながら一つ一つ決めていくという仕事です。眞鍋かをりさん これまで政策に関わって、それによって社会が良くなっているようなことを実際に実感できたことはありますか?恵﨑室長 以前、企業の設備投資を促進する税制の設計に関わったことがあります。その次の年に現場の仙台国税局に出向したのですが、笹かまぼこを製造する会社に話を聞いた際、古くなったかまぼこ製造機を、その税制が適用されるから新しくしようかなという話をしていて、自分が関わった仕事が「企業や人の行動を変えているんだな」と実感してやりがいを感じました。眞鍋かをりさん なるほど。歳をとるごとに、結婚したり子どもが生まれたり、社会との関わりが増え、自身も国民として、政策について実感するシーンが増えていきますよね。例えば、税金や保険料は若いころはとられているだけみたいな実感ではありますが、病気になったり、介護があったり、社会に支えられているということを、セーフティネットを実際に利用する側として実感するような気がします。写真 6 一番右が眞鍋かをりさん 14 ファイナンス 2023 Oct.子育てもそうですが、一つひとつが大切でも、あちこちから「ちょーだいちょーだい」という声が寄せられる中で、それを決めていくのは大変ですよね。高橋主査 今の仕事をやらせていただく中で、あらゆる政策には意義があって、それぞれの立場にとってはそれぞれの正義があるんだなということを感じます。難しく絶対的な正解はない中で、議論して決めていくしかないのだと思います。関谷補佐 そうですね。「それは要らないだろう」というものはそうあるものではなく、当事者にとっては全て切実で、全部必要なのだけれどその優先順位をどうつけていくのかということだと思います。眞鍋かをりさん 財務省にはあまり女性のイメージはなかったのですが、財務省で働くことは女性にとってもお勧めでしょうか? 新しく入省してくる方にも女性は多いのでしょうか。関谷補佐 最近は実際に女性職員が増えてきている中、そのこと自体が財務省の雰囲気を変えていて、周りの人の意識も変わってきており、組織としても変わらざるを得ないことに繋がるのだと思います。恵﨑室長 お金のことをやっている、というと難しく聞こえるかもしれませんが、税や予算を始めとして生活に密着した内容の仕事が多いので、そういった面で女性にとっても想像力が働きやすく、面白い分野の仕事が多いのではないでしょうか。眞鍋かをりさん そうした職員の皆さんが、皆さんのように子育てして戻ってきて働いていける組織になっていくといいですね。原田室長 本日はお集まりいただき、本音かつ面白いお話をお聞かせいただきありがとうございました。また次回、違った切り口でもお話を聞ければと思います。おわりに
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