眞鍋かをりさん まさにそんなイメージを持っています。私は仕事で、政治家の方々とお話しする機会も多いのですが、政治家の方と役所ではどういった役割分担になっているのでしょうか。恵﨑室長 国民の代表者は国会議員なので、役所は国会での審議をサポートしています。非常にざっくりした話をすると、予算や税法といった政策は、民間企業に置き換えると商品のようなものだと思います。国民という顧客に対してどういう商品を売るのが良いかということを、世の中のニーズをきちんと踏まえた上で提案して、顧客(国民)の代表である政治家がその決定をするといったところでしょうか。関谷補佐 民間企業で言うと、意思決定をする社長が様々なことを検討すると思いますが、検討の土台となるデータや案を持って行くのは各部署の役目かと思います。データを踏まえて決断をする社長が政治家、データとその解釈、対応案を提供するのが役所、このような役割分担だと思います。役所から出されたデータや数字も踏まえつつ、それ以外にも国民の思いなど様々な要素を全部考慮して最終的に決定するのが政治の役割ではないかと思います。眞鍋かをりさん 皆さんは、普段表に出ていくわけではないですが、自分が関わった案件に関するニュースや国民の反応について気にされたりするのでしょうか。高橋主査 もちろん、あらゆる施策に関わらせていただく中で、各施策により実際にどういった反応が世の中で起きているか、どのように受け止められているかということは常に気にしています。恵﨑室長 最近、外国からの観光客が増える中で、空港で入国手続きのために行列ができているとSNSで写真 4 主計局 主査(総務係担当) 高橋 実枝 12 ファイナンス 2023 Oct.も話題になってしまい、税関でもすぐに対応をとりました。眞鍋かをりさん 今の話を聞いて少しほっとしました。私たちからすると皆さんは普段顔が見えませんが、そのようにちゃんと声を気にして吸い上げて対応してくださっているんですね。虐待防止の活動に関わっているのですが、以前、子どもに関する予算を大幅に増額してほしいという皆さんの声を内容に含んだ意見書を厚生労働省に提出する活動を行いました。最後は財務省が予算を付けるかどうかだと思いますが、実際に翌年予算も増えたので、そういったプロセスを経て財務省の皆さんにきちんと声が届いたということなんだなと感じました。高橋主査 財務省には様々な意見が集まってきますが、具体的に多くの方からこういう意見があるという声を頂けると、要望された施策の必要性を判断するための材料として強く受け取ることができます。そうした世の中の意見を踏まえて、他方であらゆる施策の要望をすべて実現できるほど財政に余裕があるわけではない中、様々な施策の優先順位をどのようにするかを議論することになります。眞鍋かをりさん 声が届いていると思っていなかったので、こうやって直接話を聞いて、ここまで届いているんだということが実感できました。眞鍋かをりさん 皆さんのお仕事が少し理解できたところで、違う視点で伺いたいのですが、皆さん、子育てしながらどのように仕事との両立をしているのでしょうか。以前、厚生労働省の方と話をしたときには、男性の意識は変わっていて子育てへの関心は高まっているものの、聞いた職員が男性だったこともあり、一応自身も参加しているもののやっぱりメインは妻だというケースが多かったです。高橋主査 回っているかどうかと聞かれると正直てんやわんやで何とか生きているという感じではありますが、夫やベビーシッターさんも含めて役割分担しながらどうにかやっています。男性側の育児参加については育児を「手伝っている」とか言ってしまう男性がいたら結構な殺意を覚えますよね。(笑)自分も当事者ワークライフバランスについて
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