ファイナンス 2023年9月号 No.694
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*2) 財務省委託調査「広報活動の改善を目的とした調査(令和4年度)」(https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/release/itaku/seikabutsu/2023063001.html)写真 3 大臣官房長 青木 孝德 4 ファイナンス 2023 Sep.大事だろうと思います。伊沢拓司さん 社会保障のうち、年金も医療も両方とも受益と負担の仕組みですが、年金もあまりそれが認識されません。医療は、困ったときに助けてくれるサービスとして受益感がありますが、年金は貰うことが当たり前すぎて認識しづらいのだと思います。財政も年金と同じようなイメージがありますが、青木さんの肌感覚的にはいかがでしょうか。青木官房長 財務省が行っているアンケート調査*2の中で、「税金のイメージ」と「どのようなサービスで還元されていると感じるか」を聞いています。その答えをみると、税金については「国や社会づくりのためのもの」と多くの人が認識している一方で、「国がとりたてる」「国が使い方を決める」という少し他人事なイメージも抱かれています。また、還元されていると感じるサービスについては、「医療」が圧倒的に高いですが、「教育」等もある程度認識されています。こうしたサービスが無料ではないことを認識しているものの、払わされているという感覚があるのだとすると、「このようなサービスを提供するためには費用がかかり、それを皆で負担する必要がある」ということを伝えていく必要がありますし、国民にとって負担とサービスのバランスが最適になるように皆さんから意見を言っていただきたいと思います。伊沢拓司さん おもしろいですね。税金のイメージについて、親が家で「税金は嫌だなあ」みたいなトーンになりがちで、マイナスからのスタートを広報力で取り返せていない現状がありそうですね。青木官房長 年齢の話でいうと、同じ調査で、財政に関して「安心」「不安」という認識も聞いていますが、全体では「不安」に感じている割合が7割と高いものの、若い人ほど「安心」と感じている人が多い傾向にあります。なぜかはわかりませんが、年代ごとに接する情報の違いの影響もあるのではと考えています。広報についてはコンテンツ作りと場づくりが大切だと考えています。コンテンツとしては、「うんこドリル」とのコラボなど積極的ですが、広報物が目に触れる「場」づくりはどのように行われていますか。青木官房長 「うんこドリル」もそうですが、学校教育の中で、制度がどうなっているかを覚えるだけでなく、「どうしてそうなっているのか」ということを皆で考えて、議論するような教え方もいいなと思います。財務省でも、中学高校で「国の予算を作ってみる」ワーク型の授業を提供しています。何にお金を使うか、使うべきでないか、そのためにどんな税金を増やすか、減らすかを考税と財政の情報発信について伊沢拓司さん 推測ではありますが、若い人は安心というよりは「無関心」なのかもしれません。そうだとすれば、こうした若い世代へアプローチしていくことも大切だと思います。

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