ファイナンス 2023年9月号 No.694
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特別教科「中城ごさまる科」の副読本島ニンジンと琉大ミーバイ® 66 ファイナンス 2023 Sep.3.中城村の産業、教育、観光琉球王国時代より農業が盛んな地域であり、現在も村の大部分を農地が占めています。サトウキビを基幹作物とし、他にも花き・野菜・果樹も多く生産されていますが、特にご紹介したいのは村の野菜としてブランド化に取り組む「島ニンジン」です。島ニンジンは沖縄の在来種で鮮やかな黄色の根が特徴で沖縄の方言では「チデークニ(黄色大根)」と呼ばれています。中城村では戦前から生産されており「中城チデークニ」として120年以上の歴史を持つ特産品となっており、県内の島ニンジン生産量の7割近くが中城村産となっています。ほのかな甘みと独特の香りを持ち、色合いが良いので食材として扱いやすく、多くの栄養成分を含むことから沖縄では古くから薬膳料理として重宝されています。水産業では、村内の漁港内において民間企業と漁協、国立大学琉球大学が連携する「中城村養殖技術研究センター(NAICe)」が、沖縄では高級魚として知られるミーバイ(ヤイトハタ)の養殖を行っています。NAICeでは資源循環型共生社会実現に向けた農水一体型サスティナブル陸上養殖施設を拠点に農業と水産業の垣根をとりさり、世界の若者が主役として食と職を育て提供する循環社会を目指しています。再生可能エネルギーの利用、廃棄野菜の活用など持続可能な取組みから生まれた「琉大ミーバイ®」として地元のスーパーやその加工品を村のふるさと納税の返礼品としても活用しています。中城村では村立小学校(3校)を教育課程特例校として文部科学省へ申請し、平成26年3月3日付で文部科学大臣より指定を受け、平成26年度から「中城ごさまる科」を導入し、現在10年目の取組みとなっています。世界遺産「中城城跡」とその城主「護佐丸」を通して中城村や琉球の歴史・文化を学び理解し、その歴史・文化に対する誇りを育て、次代を担うことのできるグローバルな視点を持つ児童を育てることをその目的としています。この特別教科についてアンケートをとった結果、9割以上の児童が「地域の歴史を学ぶことで、日本史など広く歴史を学ぶ意欲の向上につながった」と答えています。また、「中城ごさまる科」をきっかけに中城村や沖縄の歴史を探求し、村の観光大使を務める児童も誕生しています。先にも触れたとおり、歴史・文化的な価値の高い中城城跡ですが、村では観光資源としても活用しています。年間を通して様々なイベントが行われていますが、その中でも「世界遺産中城城跡プロジェクションマッピング」は平成25年に当時としてはまだ珍しかったプロジェクションマッピングを世界遺産の城壁に投影するという新しい取り組みに大きな注目を集め、デジタルサイネージアワード2021「未来先取り部門賞」を受賞しました。コロナ禍による中止もありましたが、令和4年度までの事業実施において67,000人を超える観光客を誘致し、村の地域活性化につながる事業となっています。【島ニンジン】【郷土の歴史を学ぶ中城ごさまる科】【観光資源としての中城城跡】

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