ファイナンス 2023年9月号 No.694
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世界遺産 中城城跡 ファイナンス 2023 Sep. 65中城村役場 総務課 総務係長比嘉 竜己そのような自然環境や住的環境を背景に2020年国勢調査では人口増加率が約14%増となり、沖縄県内1位、全国3位の増加率として新聞紙面などで注目を集めました。また、世界に誇れる本村のシンボルとも言える世界遺産「中城城跡」を有し、最近では14世紀頃の古い石垣と謎の多い「刻印石」の発見、テレビ番組では「日本最強の城」として取り上げられるなどその名をさらに広げているところです。この記事では、中城村の魅力の一部を紹介していきます。中城城跡は、標高約160mの石灰岩丘陵上に築かれた6つの郭からなる連郭式の山城です。伝承では、14世紀に先中城按司(氏名不詳、数世代続く)が四つの郭を築き、近年の発掘調査から14世紀中頃には石積の城郭が築かれていたと考えられて1.はじめに中城村は、沖縄本島の中部にあり、面積約15.53km2の小さな村です。那覇市の北東、沖縄市の南に位置し、西原町、宜野湾市、北中城村に接しています。村の中央を南北に丘陵が走り、平野部には緑地や農地が広がり、東側は中城湾に面しているため、海を一望できる豊かな自然環境に恵まれています。また県庁所在地である那覇市、中部圏域の拠点都市である沖縄市などの都市圏から約10kmと都市近郊性を併せ持った村であります。2.中城城跡の歴史と中城村の歴史中城村の歴史は、中城城跡(中城グスク)の歴史ととても密接な関係にあり、琉球の三山時代(14~15世紀)までさかのぼります。います。(本土よりも200年程度早いと考えられている)1440年頃、中山王の命により当時勢力を拡大していた勝連グスク(うるま市)の阿麻和利をけん制するため座喜味グスク(読谷村)から築城の名手として名高い護佐丸が移り、北の郭と三の郭を増築したとされています。護佐丸以後は、尚清王(在位1527~1555年)が王子の頃、中城間切(間切とは琉球王国時~明治時代の沖縄県の行政区分のひとつ)が王子の領地となり、1729年に一の郭に間切番所が置かれ、1897年に間切役場、1908年(沖縄戦で失われ、戦後は別の場所に移動)には役場と改められました。1972年に国指定史跡に指定され、2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして世界遺産に登録され、現在は多くの観光客でにぎわっています。村の歴史としては1908年(明治41年)に中城間切が中城村とされ、29の行政区で形成されていましたが、第二次世界大戦後には米軍の施設によって村が南北に分断され、行政運営に大きな支障をきたしていたことから1946年(昭和21年)5月に北中城村が分村し、現在の中城村に至っています。誇りと愛着を育む とよむ中城中城村

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