ファイナンス 2023年9月号 No.694
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町運営シェアオフィス「そらや」で開催された地域交流会の様子庁舎ロビーを産官民連携ワークショップで緑化する様子地方創生コンシェルジュ福岡財務支局総務課企画調整官 永田 尚士福岡市近郊ながら、豊かな自然を今に残す久山町。町域の大部分を市街化調整区域に指定し都市化を抑制するなど、半世紀近く前から住民が豊かに暮らすことを第一に考えた施策を推進。まちづくりにおいても、みんなで考え住民の満足感や心の豊かさを重視するなど、デジタル化が進む現代社会だからこそ、人々の「共感」をベースにしたまちづくりは、他の自治体にとっても参考になると思います。 64 ファイナンス 2023 Sep.4. みんなで考え、 みんなでつくる50年か。よく使う言葉であり、それぞれに捉え方はあると思います。私は、まちづくりの定義は「家づくり」と同じだと考えています。家を建てる際、今必要なこと、将来に必要になることなどを考え、最終的には、予算の範囲内で間取りや家具、デザインなどを決めていくと思います。それは、同じ家に住む家族が自分のニーズや大切にしたいことを話し合いながらお互いに折り合った結果としてまとまっていきます。まちづくりも同じです。まちづくりとは、町や社会にとって良いことをみんなで実現することです。そのためには、住民、行政、企業など、町や社会に関わる人々がそれぞれにとって良いことを考え、そしてそれを共有し、ベクトルを合わせて役割分担していくことが大切です。デジタル化が進む現代社会においても、みんなで話し合う機会をつくることは、持続可能な社会を築いていく上で、欠かすことのできない大切な要素だと考えています。これからの久山町は、これまでのまちづくりで築いた基盤を生かして新しい価値を生み出しながら、稼ぐ町にならなければなりません。稼ぐというのは、経済だけではありません。本町で暮らすことで得られる満足感や心の豊かさを稼ぐことであり、「well being」が重要です。そのためにどの政策を推進する上でも「共感」を大切にしています。そして、本町の50年後に向けたキーワードは、「楽しみ」です。人々の心の中にあるワクワク感が生み出すエネルギーは計り知れません。行政の役割は、楽しみから生まれた夢や希望を抱く、さらには形にするきっかけをつくることだと考えています。本町では今、「課題」を「楽しみ」に変え、「みんなで」つくり、「共感」することをめざして、さまざまな事業を推進しており、『地域交流型シェアオフィスそらや』や『カーボンネガティブ&ネイチャーポジティブ』『中学生がつくる中学校図書館リニューアルプロジェクト』『みんなでつくる公園づくり』『ひさやまてらこや+』『久山町健康情報戦略』などの事業があります。すべての事業において、関わる人、一人ひとりが主人公です。住民、企業、行政、どれが欠けたとしても持続可能な社会は成り得ません。先人たちが築いてきたこの土地、今住んでいる人々、抱えている課題、それらを見つめた先にこそ、見える未来があります。これからもシンプルに、地域の足下にあるもの見つめ、顔と顔が見える関係を大切に、未来に向けた「挑戦」を続けてまいります。皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。「共感」をベースにしたまちづくり、今後の展開に期待! 久山町

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