ファイナンス 2023年9月号 No.694
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大砲引揚位置 江差港 大砲と、呉市役所産業部・兼光副部長(左)、筆者(右)。(令和5年6月8日撮影)大砲を引揚げたとされる地点「地図データ」(国土地理院)をもとに北海道財務局作成函館財務事務所 管財課長小田 博文 60 ファイナンス 2023 Sep.広島県呉市を結ぶ国有財産〜◎大砲の概要・全長  約3.2m(砲身:約2m)・全幅  約40cm・重量  1,060kgこの大砲は、「旧海軍の大砲」とみられる非常に特殊な国有財産(物品)であったことから、函館財務事務所において様々な関係者に対し情報提供を行い、また、地方公共団体と連携・協力しながら検討を重ねた結果、広島県呉市への売却に至ったものです。以下、その取組の経緯をご紹介いたします。1.はじめにおととし(令和3年)11月、北海道積丹町の沖合いで操業中のカニかご漁船により、旧日本海軍のものと思われる大砲が引き揚げられ、北海道江差港に陸揚げされました。引受け先を探索することとなりました。大砲の砲身には「呉海軍工廠(くれかいぐんこうしょう)」と刻まれた銘板が貼付されていたことから、国の所有物ではないかということで、江差町から函館財務事務所(以下「当事務所」)に問合せがありました。江差町からの連絡を受けた当事務所では、上部機関である北海道財務局へ報告を行い、当該大砲の取扱いについて検討を開始。まずは、法令や通達の確認を行うとともに、過去において同様の事例がないか等の調査を始める中、当事務所職員が江差港に出向いて大砲の現地確認を行うとともに、大砲の取扱い等について、江差町と協議を行いました。また、これと並行して、防衛省に対し当該大砲について情報提供を行いました。防衛省からはその後、当該大砲は防衛省の所管財産とならない旨の回答がありましたが、銘板に刻まれた2.財務局で大砲を引受け大砲は、江差港に陸揚げされた後、江差町において「旧海軍大砲」生まれ故郷の歴史科学館で展示へ〜北海道江差町と 江差町

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