ファイナンス 2023年9月号 No.694
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(注)図表8:ゲームパブリッシャーとは、ゲームの販売や運営等を行う企業を指す。(出所)電通メディアイノベーションラボ「情報メディア白書2023」、Newzoo「GlobalGamesMarketReport」、data.ai「モバイル市場年鑑2022」、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会「ゲーム白書2022」(注)図表12:2018年1月1日~2022年12月31日までの5年間における、支配権獲得案件かつクロージング済みで金額が開示されている案件の集計。(出所)日本経済新聞「ソニーG、「プレステ」10作品実写化へ 手本はマーベル」(2023年5月25日)、任天堂株式会社/株式会社バンダイナムコホールディングス/株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス 各社決算資料、デロイトトーマツ「ゲーム業界における日本の動向」・世界のゲーム市場は約22兆円規模であり、セグメント別にみると、スマートフォンの普及やゲームスタイル等の変化により、モバイルゲームが52.6%と最大シェアを占めている。次いで、日本が強みを持つ家庭用ゲームが26.9%となっている(図表7)。・モバイルゲーム市場は、スマートフォンを使用し別途ハードウェアが必要ないこと、コンテンツの利用に関してもFreetoPlayが基本で利用ハードルが低く、他セグメントと比較してより多くの層を取り込めることから急成長を遂げている。プレイヤーとしては、中国が最も大きなシェアを持っており、パブリッシャー上位10位をみると、中国と米国が強みを持つ市場といえる(図表8)。・一方、家庭用ゲーム市場は世界的に縮小傾向にありつつも、日本の高いコンテンツ力が顧客のニーズをとらえ、大部分のシェアを獲得している(図表9)。内訳であるハードウェアについて、一部米国企業のコンテンツだが、大部分は日本企業のコンテンツであり、ソフトウェアについても、日本や米国を中心にシェアを獲得しており、日本が強みを持つ市場といえる。・日本の家庭用ゲームヒット作は高いコンテンツ力を保持しており、ゲームの枠を超えて、アニメーションや映画等、ゲームIP(知的財産)を活用したメディアミックス展開での成功事例が見受けられる(図表10)。・国内主要ゲーム会社の2022年度売上高に占めるIP売上高は、足下一桁%台に留まっており、IP展開は発展途上であるが(図表11)、大手各社がIP戦略に注力することを打ち出しており、コンテンツ産業の更なる拡大が期待される。・世界のゲーム業界においては、IPやメタバースなどの新たな分野・技術の獲得等を目的としたM&Aが既に進められているが、日本は出遅れている(図表12)。既存のゲームIPを軸にしつつ、M&A等も有効活用し、IPの拡充やメディアミックス展開を進めることで、顧客が求める新たなサービスや付加価値を提供し続けられるかどうか、日本のデジタルコンテンツの底力が試される。ゲームアンチャーテッド(ソニーグループ)2007年発売シリーズ累計販売4170万本超2013年発売ザ・ラスト・オブ・アス(ソニーグループ)累計販売3700万本超ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー1985年からのスーパーマリオシリーズ(累計販売4億本超)(任天堂)PCゲーム20.5%家庭用ゲーム26.9%モバイルゲーム52.6%(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。映像22年2月映画公開世界で4億ドル超の興行収入23年1月ドラマ配信欧州や中南米でHBOマックスの最多視聴数を記録23年4月映画公開アニメ映画の公開初期の興行収入で過去最高を記録順位12345678910miHoYo(2021年/全世界消費支出ベース)本拠地中国中国米国企業名TencentNetEaseActivisionBlizzardPlayrixZyngaSupercellPlaytikaRobloxNetmarbleアイルランド米国フィンランドイスラエル米国韓国中国9,9003,432510任天堂817バンダイナムコSQUARE ENIX売上高IP売上高買手企業地域全世界北米欧州APAC(日本を除く)日本その他日本由来コンテンツシェア15687.8%(図表7)世界のゲーム市場における セグメントシェア(図表10)ゲームIPの映像化事例タイトル(図表8)モバイルゲームパブリッシャー上位10社 (図表11)国内企業におけるIP売上高(億円)18,00016,01616,00014,00012,00010,0008,0006,0004,0002,0000(図表9)家庭用ゲーム市場における 日本由来コンテンツのシェア(図表12)ゲーム業界における地域別M&A件数コラム 経済トレンド 111件数658件207件282件112件31件26件ファイナンス 2023 Sep. 35世界のゲーム市場における日本の立ち位置日本のデジタルコンテンツ産業の展望

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