ファイナンス 2023年9月号 No.694
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32 ファイナンス 2023 Sep.第3章 動態的不良債権論 日銀信用機構局の考察第1節 “破綻処理法制”研究会の成果、第2節 日銀ペーパー、第3節 大蔵省銀行局の拒絶第4章 金融システムの周辺に止まった改革 西村銀行局長の時代第1節 東京二信組の破綻、第2節 「機能回復」と金融三法、第3節 大手銀行の不良債権の把握、第4節 住専処理第5章 政策形成プレイヤーたちの認識ギャップ第1節 金融仲介機能に対する感度、第2節 分析枠組みと認識形成、第3節1990年代前半における教訓第6章 “システムワイドな金融危機”の実際第1節 財金分離と金融ビッグバン、第2節 金融危機前夜の破綻処理、第3節 1997年「魔の11月」、第4節 規制・監督当局が目指したプルーデンス政策、第5節 早期是正措置第7章 金融国会と長銀破綻第1節 官僚危機、第2節 公的資金の導入、第3節 金融再生法と長銀破綻、第4節 会計基準の変更と長銀裁判第8章 不毛なる二者択一 柳澤から竹中へ第1節 第二次公的資本注入、第2節 破綻処理法制の恒久化、第3節 柳澤金融再生相時代、第4節 竹中金融相時代第9章 世界金融危機と国際的金融規制改革第1節 世界金融危機の実相と教訓、第2節 破綻処理の国際標準、第3節 米国とEUの対応、第4節 日本の対応と公的資金再考、第5節 ベイルインvs.ベイルアウト第Ⅱ部 倒産処理制度の改革第10章 倒産処理制度の改革前夜 問題の所在Ⅱ第1節 倒産処理制度の重要性、第2節 倒産処理の三流国、第3節 法的整理手続の機能不全、第4節 破産法への不信、第5節 和議法と会社更生法の欠陥、第6節 メインバンク・ガバナンスと私的整理手続第11章 倒産法制改革の思想と民事再生法第1節 司法界の始動、第2節 園尾プロジェクト、第3節 民事再生法の思想と構造、第4節 民事再生法の運用と定着、第5節 民事再生法の実績評価、第6節 民事再生法の今日的課題第12章 事業再生市場と会社更生法改正第1節 事業再生市場の勃興と更生手続の変化、第2節 新会社更生法の特徴、第3節 DIP型会社更生の相克、第4節 更生手続の制度としての危機第13章 「企業価値の段差」の克服第1節 私的整理手続の活況、第2節 「企業価値の段差」問題と商取引債権の保護、第3節 私的整理手続に発生した問題第Ⅲ部 新たな相互補完的な制度体系を目指して第14章 再び,危機へ 事業再生の今日的課題第1節 事業再生制度の機能不全、第2節 金融行政による倒産の阻止、第3節 来たるべき倒産法再改正の課題、第4節 法的整理手続と私的整理手続の架橋、第5節 企業金融論と倒産法終 章 1975年体制の克服第1節 長期雇用制度とメインバンク・ガバナンス、第2節 高まる中小企業の生産性改革の必要性結 語あとがき、参考文献、索引。「あとがき」は、2021年2月に逝去された池尾和人・慶應義塾大学名誉教授への謝辞と思い出が記される。次に、白川方明前日銀総裁(肩書きは、本書出版時のもの。)のガイダンスに深謝する。ちなみに白川氏は、本書の帯やカバー前扉の推薦の辞にも登場する。さらに、大蔵省関係者など本書に登場する人物も含め、様々な方々への謝辞が記載されている。加えて、辻廣氏は、「危機を克服するための政策対応や制度措置が困難であることの原因の一つは、政策担当者ひいては社会が過去に拘束されていること、すなわち経路依存性にある。そうだとすれば、原因の追求は際限なく過去に遡ることになり、危機が発生し混乱が生じて以降の時々の政権、政策担当者たちの責任を問うことは見当違いなのではないか、という思いに囚われ続けた。その一方で、歴史とは人々の営みの積み重ねであり、時々の政権、政策担当者たちの選択と判断の集積であるのだから、その一つ一つの妥当性を検証することは意味のないことではない、という思いもあった。本書は、その二つの思いの揺れの中で書かれた。そうして書き終えて、確信していることが一つある。将来、私たちを国家的危機に陥れる重要な問題の萌芽は今、この社会に必ず潜んでいて、しかし、専門家も含めてほとんどの人々は認識すらしていないと

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