ファイナンス 2023年9月号 No.694
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8 ファイナンス 2023 Sep.増やしてほしいんです。こういった活動は自分でやっていることではありますが、僕も褒めてもらえると嬉しいです(笑)。批判も称賛も、適切に成されればコンテンツを成長させます。評価にさらされる場が、まずは必要になってきますね。日本の将来を考えるために伊沢拓司さん 少し真面目な話に戻ると、日本の未来のために、みたいなことを考えるにあたって、日本人は大局的な視点をもったビジョンコミュニケーションが得意ではないように感じています。ニュース番組もすごく具体的な話や短期的な利益の話を扱っていて、「今の利害は置いといて50年後のビジョン作ろう」みたいな話はありません。税についても、将来のビジョンを見せて、そのためのお金ですよ、という話ができるといいですよね。現状はメディアにいる私にも責任がありますが。青木官房長 おっしゃるようにビジョンを語ることが得意でない部分はあるように思います。テレビやネットの世界でも、相手の意見を制して自説をまくし立てたり、論破して黙らせたりといった風潮がありますが、本来の議論は、相手の主張を尊重し、課題に対する理解や対応がより良い方向に進めるようにお互いの意見を交わさないといけないのではと思います。伊沢拓司さん テレビなどはエンターテイメントの部分もあるため、積み上げるコミュニケーションには適さないかもしれません。ただ、こうしたコミュニケーションができないと、いいことをやろうとしているのに伝わらずもったいないと思います。青木官房長 財務省としては、できることから始めて、この国の将来を国民の皆さんに考えてもらうための材料を地道に提供して回るしかないと考えています。伊沢拓司さん ただ、メディアの潮目も変わっているように感じており、失われた30年を経験したクリエーターの中には公的セクターの重要性を認識するような方も増えていて、その中には、きっと財務省と一緒にモノづくりや情報を発信してくれるような方もいると思います。クイズについて青木官房長 全く違う話を聞いてもいいでしょうか。クイズって子どもから大人までものすごく関心を引くものだと思うのですが、どういった効果のあるコンテンツなのでしょうか。伊沢拓司さん 自分は能動化と呼んでいて、クイズを投げかけることで相手に考えさせる、主体的にさせる効果があると思います。ニュースを扱うワイドショーの「めくり」なんか好例ですね。また、シンプルに正解したら褒められる、みたいな感覚も能動化のツールとして適していると考えています。青木官房長 ワクワクする、面白そうだから参加してみようという行動経済学的な促す効果があるのでしょうか。財政は難しくて敬遠されがちではありますが、楽しく考えてもらうきっかけとしてクイズもあるのかなと思いました。伊沢拓司さん お金の話はクイズととても相性がいいと思います。身近で、利害が絡んで、好奇心をかきたてやすい題材です。その意味では財政もたくさんのお金の数字があるのでクイズが作りやすいのではないでしょうか。青木官房長 完全に個人的な興味ですみません(笑)。こうした日本のクイズ文化っていつから生まれたのでしょうか。

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