今回、対面開催(一部オンライン参加)に戻したことは、非常に成功だったと思います。レクチャーのみであればオンラインでも相当程度スムースに運営できますが、コーヒーブレイクやランチタイムなどを活用して参加者同士深い議論をすることが可能になりました。アジア人はシャイな方が多いので、会議の間は挙手をためらうこともあったのだと思いますが、コーヒーブレイク等でフォローアップすると、意外としゃべりますし、むしろ話が止まらなくて困った方もいました。思わぬ本音が聞けたり、相談を受けたこともあり、こうした点は、対面の良さだったと思います。TFFに期待されている一つの役割は、当局者同士が率直な意見交換をすることで、各国の財政運営強化をサポートすることだと思います。今回財政当局者の人的なネットワークが出来上がりましたので、少し悩んだ際に他国のカウンターパートにも聞いてみよう、といったことができるようになったと思います。国際関係の部局と違って、いわゆる予算・税制担当者の各国間ネットワークはまだ弱いと思いますので、こうした点でも、対面開催の意義は非常に大きいと思います。来年に向けては、ランチやコーヒーのようなフランクな意見交換をする時間をもっと増やしても良いのではないかとさえ思っています。―共催機関として財務総研に期待することはありますか?日本の財務省は、予算関係は主計局が担当ですが、財政の議論の中では税制も出てきますし、他にも理財局の担当しているPFM(公的財政管理)のような議論に及ぶこともあります。また、取り扱うテーマも時によって変わっていきます。TFFは財政全体をカバーして、政策横断的な課題を扱っていくことになりますので、その観点で、一つの部局ではなく財務総研のように横串を刺す機関、かつアカデミックな研究のストックがある組織がカウンターパートであることは、アジェンダ設定にあたっても非常にありがたいです。 64 ファイナンス 2023 Aug.
元のページ ../index.html#68