私の代表作「東京ノート」は世界14か国で翻訳されて世界中で上演されています。また、ドイツのハンブルグの州立歌劇場でつくったオペラは、福島が舞台になっており、最後に防護服を着て墓参りする場面で終わる作品です。このようにヨーロッパにおいてもオペラの制作などに携わってきています。このような活動の一方で、私は2021年4月に開学した兵庫県立の芸術文化観光専門職大学の初代学長を務めています。また、私は、小学校・中学校の国語教科書の作成に長年携わっております。現在でも年間30~40校の小学校・中学校を訪問し、授業を行っています。大学でも国内外でワークショップ形式の授業を行っています。本日は「芸術文化と観光」についてお話します。私は今兵庫県豊岡に在住する移住者でもあります。地方創生、人口分散、人口減少対策は日本の最大の課題ですが、芸術文化がこれらの課題にどのように貢献できるかについてお話できればと考えております。私が住んでいる兵庫県但馬地方は、3市2町で構成はじめに.自己紹介を兼ねた私の活動平田です。よろしくお願いします。ご紹介いただいたように私は普段は劇作家、演出家で、作品をつくることが一番の仕事です。1. 但馬での芸術文化観光を通じた地域づくりされており、東京都とほぼ同じ面積ですが、人口は16万人弱です。中核市となる豊岡市は、1市5町が合併した大きな市で、城崎温泉があります。豊岡市は東京都23区とほぼ同じ面積を持ちながら、人口は8万人を切ってしまい、今は実質7万5千人となっております。但馬地方はコウノトリの再生で知られています。コウノトリが絶滅した最後の地であったため、人工繁殖から自然放鳥に取り組み、現在約300羽のコウノトリが飛んでいます。コウノトリのため無農薬の田んぼを広め、そこで収穫されたお米は「コウノトリ育むお米」としてブランド化され、大変高値で販売されています。但馬地方で最も有名なのが城崎温泉です。大きなホテルは町外れにしか建設できず、木造三階建の旅館街が守られてきました。これが支持され、現在はインスタ映えするスポットとして、2~3月には関西の女子大生の卒業旅行先として人気があります。また、コロナ以前の5年間で、訪日外国人観光客が40倍に増加しました。旅館街の一番外れにあった城崎大会議館という千人収容のコンベンションセンターをリニューアルしたのが「城崎国際アートセンター」です。世界でも珍しいレジデンス施設として、芸術家たちが滞在し、作品を制作する場となりました。かつて年間20日間しか使われていなかった施設は、 52 ファイナンス 2023 Aug.講師演題(1)但馬地方について令和5年6月9日(金)開催(2)コウノトリの再生・城崎温泉(3)城崎国際アートセンター平田 オリザ平田 オリザ 氏 氏(劇作家・演出家・青年団主宰 (劇作家・演出家・青年団主宰 芸術文化観光専門職大学学長)芸術文化観光専門職大学学長)芸術文化と観光芸術文化と観光令和5年度職員トップセミナー
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