060千保川年100図4 鹿児島の路線価110908070新八代開通九州新幹線全線開通200403082011131811010023(出所)国税庁「路線価」から筆者作成(出所)国土地理院 地理院地図vectorに筆者加筆図5 高岡の最高地価の変遷小馬出町木舟町旧大和百貨店御旅屋町富山銀行旧本店イオンモール高岡駅新高岡駅末広町最高路線価地点令和2年(2020)~万円/㎡天文館駅前駅発着の新幹線が開通したからといって首都圏への流出が大きく増えるということではなさそうだ。新幹線の開通で最高路線価地点が移動した例は、冒頭の金沢以外にもいくつかある。古くは埼玉県の大宮の例がある。昭和57年(1982)に東北新幹線が開通。これに伴う再開発で新幹線ホームがある大宮駅西口の風景が一変した。ペデストリアンデッキが縦横に広がり、丸井やダイエー、そごうが進出した。開通10年後の平成4年(1992)には最高路線価地点が大宮駅東口の銀座通りから大宮駅西口広場に交代するに至った。新幹線をきっかけに駅前の商業開発が進み、明治以来の伝統的な中心街の天文館を激しく追い上げた例が鹿児島市だ。平成16年(2004)、九州新幹線の部分開通を機に西鹿児島駅が鹿児島中央駅に改称。リニューアルに伴い県内最大規模の商業施設のアミュプラザ鹿児島が開店した。駅前の路線価が上昇に転じる一方、天文館の下落傾向は変わらず、次第に駅前との差が縮まってきた。平成21年(2009)には天文館にあった三越鹿児島店が閉店した。次は北陸新幹線の起点の高崎市とその県庁所在地の新幹線の開通で街の中心が移った例街の構造変化における本連載の前提は、徒歩と舟運、鉄道そして自動車へ主要交通手段が変わるにつれ、街道や河岸、駅前、バイパス沿いに中心地が移転するという「交通史観」だ。この中で新幹線はどのように位置づけられるのか。前橋市である。前橋市の最高路線価地点は「本町2丁目前橋東邦生命ビル前本町通り」で、駅前ではない。1ページ目の図2を見ると、北陸新幹線が開通した翌年からランキングを落とし直近で45位となった。仮に前橋市と高崎市を入れ替えて都道府県ランキングを作った場合、群馬県は新潟県と同ランクの25位となる。街の規模を考えればこれが妥当だ。街の構造変化を考える上では、駅の機能が新幹線駅に置き代わり、その結果、前橋・高崎両市を合わせて地域を代表する駅が高崎駅に充てられたとすれば説明がつく。元のJR駅前から新幹線新駅に街の中心が移転したケースが高岡市だ。千せん保ぼ川にも近い旧街道沿いの小こんま馬出だし町まち、木き舟ふね町まちから戦後は御お旅た屋や町まち、末広町まちという具合に最高路線価地点が駅に近づいていった。北陸新幹線の新高岡駅が開業して5年後の令和2年(2020)、当地の最高路線価地点が「京田県道57号線」になった。新高岡駅の南側には平成14年(2002)に開店したイオン高岡SCがあった。現在のイオンモール高岡である。規模は御旅屋町と末広町の商業エリアにも匹敵する。いきおい御旅屋町や末広町はシャッター街化が進んだ。令和元 50 ファイナンス 2023 Aug.
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