01,001名以上(n=205)301名以上 1,000名以下0102030405060702017203020292028(注)前提条件:IT需要の伸び:中位(2~5%)2027202620222021生産性上昇率:0.7%先端IT人材への転換率:2.0%20252024202320202019(出所)IMD「デジタル競争力ランキング2022」、IPA「IT人材白書2020」、経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」、みずほリサーチ&テクノロジー(出所)総務省「令和3年版情報通信白書」、三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ジョブ型雇用におけるリスキリング施策~事例にみるリスキリングの検討ポイント~」、IPA「DX白書2023」、・企業が競争上の優位性を確立するには、常に変化する社会や顧客の課題を捉える観点からもデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現することが重要である。経済産業省の報告書によれば、日本ではDXが進まない場合、2025年以降、最大約12兆円/年もの経済損失(2022年GDPの2%以上に相当)が発生すると予測されている。・2022年の日本のデジタル競争力は63カ国中29位にとどまっており、特にデジタル・技術スキルの競争力は62位と低く評価されている(図表1)。・デジタル技術やデータ活用に精通した人材として、IT・デジタル人材が必要とされている一方、日本では量・質共に不足が叫ばれており(図表2、3)、2030年には先端IT人材(デジタル人材)が45万人不足する試算がでている(図表4)。・現在、政府が進めている「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2022」では、デジタル推進人材を2026年度末までに230万人育成する取り組みを進めるとされている。・日本でDXが進まない最大の理由は「人材不足」があげられている。(図表5)。不足するDX人材を補うために、従来型IT人材のリスキリングが官民で行われている(図表6)。・新技術の台頭により、DXの方向性を描くことや、必要な人材を把握することは難しい中、日本ではDX人材の評価基準が進んでいない(図表7)。経済産業省・IPA「デジタルスキル標準」ではDX人材を5つに分類しているが(図表8)、ChatGPT等の生成AIの台頭により、「プロンプトエンジニア※」といった新しい職業も台頭してきている。米企業Anthropicでは25万~33万ドルで募集をかける程の需要があり、DX人材に求められるスキルセットも常に変化している。表しているデジタル競争力に関する国際指標。世界主要各国・地域として全63カ国・地域が回答。(図表5)DXを進める上での課題60(図表6)官民リスキリング例20182019デジタル競争力うち、人材うち、デジタル・技術スキル22232728364846464760622020622021ズ「-IT人材需給に関する調査-調査報告書」20人材不足費用対効果が不明資金不足既存システムとの関係性ICTなど技術的な知識不足施策官民名自社開発プラットフォーム富士通日立製作所グループ会社開発プラットフォーム学習プラットフォームDX人財育成のための社内大学社内大学KDDIソニー本務以外の業務を20%まで実施可能社内副業・兼業制度損保ジャパン本務以外の業務を20%まで実施可能休職制度ソニー私費留学のために最長2年休職可能給付制度厚生労働省専門的・実践的教育訓練講座に対教育訓練し、最大70%(上限56万)を支給Bloomberg「日立、生成AIのコンサルサービス開始へ-安全で有効な利用を促進」、経済産業省・IPA「デジタルスキル標準ver1.0」2023(注)デジタル競争力ランキングとは、IMDが策定・公(図表2)従業員規模別のIT人材の“質”に対する不足感(%)(図表3)IT人材の“量”に対する過不足感0(%)(図表8)DX人材の人材類型(n=249)29300名以下(n=367)大幅に不足している506220222033.040(%)人材類型53.1ビジネスアーキテクトデザイナー内容データサイエンティストソフトウェアエンジニアサイバーセキュリティ大幅に不足している特に過不足はない60402048.38049.840.653.833.849.9やや不足している特に不足はない80406056.0やや不足しているやや過剰である※AIが最適な答えを返すように、プロンプトと呼ばれる指示文を開発・改良するエンジニア・生成AIの市場規模は2027年までに2022年の13倍以上にあたる1,210億ドル(約16兆円)へ拡大する見通しである(図表9)。また、生成AIによる生産性の向上などが世界のGDPを7%押し上げる効果がある反面、世界で3億人のフルタイム雇用に相当する仕事を自動化する可能性があると言われている。定義DXの取組みにおいて、目的設定から導入、導入後の効果検証までを、関係者をコーディネートしながら一気通貫して推進する人材ビジネスの視点、顧客・ユーザーの視点等を総合的にとらえ、製品・サービスの方針や開発のプロセスを策定し、それらに沿った製品・サービスのありかたのデザインを担う人材DXの推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データを収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う人材(注)n=8211001002000(億ドル)1,5001,2009006003000(図表4)先端IT人材の「不足分」に関する試算結果(万人)2001501005002018(図表7)DX人材の評価基準の有無100(図表9)生成AIの市場規模米国(n=301)日本(n=376)供給人材数基準がある20222023不足数45基準はない分からない2024202520262027806040(%)(図表1)日本のデジタル競争力ランキング大臣官房総合政策課 河野 愛/西村 海生本稿では、デジタル人材の現状、課題を分析し、人材確保の点から考察する。DXの取り組みにおける課題コラム 経済トレンド110 46 ファイナンス 2023 Aug.デジタル人材の概要と現状デジタル人材確保に向けて
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