ファイナンス 2023 Aug. 41信用補完制度の解説に規定する承継協定銀行(同条第四項第四号に規定する承継勘定に係る業務を行う場合に限る。)並びに金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)第二条第五項に規定する被管理金融機関、同条第七項に規定する承継銀行及び同条第八項に規定する特別公的管理銀行をいう。)と金融取引を行つていたことにより、銀行その他の金融機関との金融取引について借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。七 銀行その他の金融機関が支店の削減等による経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整であつて経済産業大臣が指定したものを実施していることにより、当該金融機関との金融取引について借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。八 銀行その他の金融機関が当該中小企業者に対して有する貸付債権を特定協定銀行(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五十三条第一項第二号に規定する特定協定銀行をいう。)又は株式会社産業再生機構に譲渡したことにより、当該金融機関その他の金融機関との金融取引について借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているためその経営の安定に支障を生じている中小企業者のうち、適切な事業計画を有することその他の経済産業大臣が定める基準に適合することによりその事業の再生が可能と認められるもの6 この法律において「特例中小企業者」とは、中小企業者であつて、内外の金融秩序の混乱その他の事象が突発的に生じたため我が国の中小企業に係る著しい信用の収縮が全国的に生じていると経済産業大臣が認める場合において、その信用の収縮の影響により銀行その他の金融機関からの借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているためその経営の安定に支障を生じていることについて、その住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けたものをいう。(まとめ)さて、このように信用保険法は、基本(縦)と特例(横)という視点で読み解くことで、その全体像を解することは容易になると思われる。その上で、最後に、より制度理解を進めやすくする2つのポイントを述べておきたい。まず保険メニューについては、上記の信用保険法に係るもの以外にも多々存在している。そのため、信用保険法だけでは理解が足りないのではないかと思われるものの、実際にはそのようなことはない。何故ならば、信用保険法以外に基づく保険メニューも、結局のところは、信用保険法を読み替えるという立て付けになっていることが基本だからである。したがって、信用保険法による保険メニューがどのように読み替えられるかという観点に立てば、さほど複雑な形にはなっていない。次に、保険金額(填補率)が信用保険法で明示されているところ、実務的には、保証メニューによる保証割合と保険金額(填補率)が、どちらの話なのか混乱しがちである。とりわけ、保証割合と保険金額(填補率)が一致している場合は、初見の際は混乱するであろう。この点については、そもそも信用保証協会が民間金融機関に対して行う保証割合については、保険メニューと異なり、法令上規定されているわけではない、ということを念頭に置いておけば、混乱することは無いであろう。すなわち、SN保証4号は保証割合が100%の保証メニューとしてよく知られるところであるが、これは政策的見地によるものであって、この割合を100%とする法令上の規定そのものはないのである。そして、保険メニューは、その保証割合に対する保険金額(填補率)であるから、当然に保証メニューの保証割合とリンクしているわけではない。言われれば単純なことではあるが、その原理原則だけ念頭においておけば、信用保険法を読み解くことは勿論ながら、信用補完制度全体の理解も容易になるのではないかと思われる。
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