ファイナンス 2023年8月号 No.693
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ファイナンス 2023 Aug. 37信用補完制度の解説合は手形の支払、電子記録債権の割引の場合は電子記録債権に係る債務の支払)を保険事故とする。4 第一項の保険関係が成立する保証をした借入金(手形の割引の場合は手形の割引により融通を受けた資金、電子記録債権の割引の場合は電子記録債権の割引により融通を受けた資金)は、中小企業者の行う事業の振興に必要なものに限る。5 第一項に規定する債務の保証に係る金融機関の債権が金融機関その他の政令で定める者以外の者に譲渡されたときは、当該債務の保証に係る同項の保険関係は、当該譲渡の時において消滅する。第三条の二~第三条の十一 (略)(保険料)第四条 保険料の額は、保険金額に年百分の三以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。(保険金)第五条 公庫が普通保険…の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、信用保証協会が中小企業者に代わつて弁済…をした借入金…、社債に係る債務…又は特定支払債務の額から信用保証協会がその支払の請求をする時までに中小企業者に対する求償権…を行使して取得した額(次の各号に掲げる場合にあつては、当該各号に定める額)を控除した残額…に、百分の七十…を乗じて得た額とする。一~三 (略)では、その縦のメニューに横断的に適用される特例メニュー(横のメニュー)とはどういうものか。これこそが、今般の新型コロナ対策で認知した方も多いであろう、SN保証や危機関連保証に係る特例的な保険メニューである。(特例メニュー:横のメニュー)横のメニューは、個人的な感想ではあるけれども、この信用保険法上では読み取りにくい法令構造をしている。その理由は、縦のメニューに比べれば、分散的な構造をしているからではないかと思われる。まずSN保証や危機関連保証については、災害等の事態にあたり発動される保証メニューであるが、そういった事態に対応する保証をバックファイナンスするため、保険メニューとしても、その保険金額(填補率)を引き上げるとともに、通常よりも保険料率を下げている。そういった特例的な内容を定めているのが、信用保険法第12条から第18条である。具体的には、第12条から第14条においては、SN保証に係る内容となるように、第3条から第3条の3(普通保険、無担保保険又は特別小口保険の3つの保険メニューについての規定)、第4条(保険料)及び第5条(保険金)に係る読み替え規定が定められている。要するに、縦のメニューが一律に読み替えられる立て付けであり、これにより、SN保証は、通常の保険メニューから別枠化の上で、保険金額(填補率)が80%に一律化(ただし、SN保証6号は当分の間90%)されるとともに、保険料率も2%を上限として政令委任される形となっている。そして、第15条から第17条においては、危機関連保証に係る内容となるように、上記と同様の構造での読み替えが定められている。SN保証に係る内容と明示的に異なる点としては、危機関連保証では、保険金額(填補率)は、さらに高い90%に一律化されているという点であろう。なお、SN保証に係る保険料率は、信用保険令第3条、同様に危機関連保証に係る保険料率は、同令第4条にて規定されている。その上で、他に優遇措置がとられている保険メニューと、SN保証と危機関連保証に係る保険メニューについて、重複して利用される場合の保険価格の上限をどのようにするかを定めるのが第18条であり、同条はその内容を政令に委任しているという構造となっている。ちなみに、委任された信用保険令第5条は、激甚じん災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年法律第150号)等の災害に係る法令による保険メニューとの保険価格の上限を定めているところである。

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