ファイナンス 2023年8月号 No.693
38/80

1号2号3号6号7号8号(図表2)SN保証の種類セーフティネット保証制度〇セーフティネット保証制度とは、取引先の倒産、自然災害、構造的な不況等によって経営の安定に支障が生じている中小企業者を対象とした、一般保証とは別枠で最大2億8千万円を利用できる保証制度44号号55号号制制度度概概要要・・対対象象者者【【連連鎖鎖倒倒産産防防止止】】大型倒産事業者を告示で指定。当該指定事業者に対し、売掛債権等を有している中小企業者が対象【【事事業業活活動動のの制制限限】】事業所の閉鎖等、事業者の取引制限を告示で指定。当該事業者との直接・間接取引先の中小企業者等が対象【【事事故故等等のの突突発発的的災災害害】】突発的な事故等により相当数の中小企業者に影響が出ている地域と業種を告示で指定。当該地域内の中小企業者であって、売上高等が減少している中小企業者が対象【【自自然然災災害害等等のの突突発発的的災災害害】】自然災害等により相当数の中小企業者に影響が出ている地域を告示で指定。当該地域内の中小企業者であって、売上高等が減少している中小企業者が対象【【不不況況業業種種】】全国的な不況業種を告示で指定。当該業種に属し、売上高等が減少している中小企業者が対象【【破破綻綻金金融融機機関関】】破綻金融機関と金融取引を行っていた中小企業者が対象【【金金融融機機関関のの経経営営のの合合理理化化】】支店の削減等、経営の合理化により中小企業向け貸出が減少している金融機関を告示で指定。当該金融機関からの借入残高が減少等している中小企業者が対象【【RRCCCCへへのの債債権権譲譲渡渡】】RCC(整理回収機構)に貸付債権が譲渡された中小企業者であって、事業の再生が可能な中小企業者が対象保保証証割割合合保保険険条条件件100%てん補率80%(一般関係保険(普通保険)の70%から引上げ)80%(注1)100%80%主主なな適適用用事事例例エルピーダメモリの更生手続開始(H24年)タカタの民事再生法の適用申請(H29年)レナウンの再生手続開始(R2年)さけ・ます類の流し網漁業の禁止(H28年)三菱自動車の生産縮小(H28年)日野自動車の一部生産停止(R4年)腸管出血性大腸菌禍(O-157)(H8年)ナホトカ号流出油災害(H9年)有明海の海苔の不作(H13年)熊本地震(H28)北海道胆振東部地震(H30)新新型型ココロロナナウウイイルルスス感感染染症症((RR22年年))静岡県熱海市の大雨災害(R3年)福島県沖地震(R4年)(注2)四半期毎に不況業種を指定(R2年5月1日~R3年7月31日:全業種R3年8月1日~:全業種指定を解除〔〔新新型型ココロロナナウウイイルルスス感感染染症症対対応応〕〕))日本振興銀行の破綻(H22年)半年毎に指定(R5年7月1日~12月31日:11金融機関)貸付債権がRCCに譲渡された中小企業者がその都度対象(注1)平成30年4月から責任共有制度対象(注1)平成30年4月から責任共有制度対象(注2)経営安定関連6号については90%(注2)経営安定関連6号については90%※ 公庫保険資料から筆者作成*6) 信用保証協会法第49条にて、「財務大臣は、その所掌に係る金融破綻たん処理制度及び金融危機管理に関し、協会に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」とされているため、財務大臣に係る規定も存在はしているものの、財務大臣は、主務大臣として信用保証協会を監督等する立場とはされていない。(中小企業庁)がその主務大臣として、業務を監督している。平易な言い方をすれば、信用保証事業については、信用保証協会法という法律一本で、基本的には全て網羅されているような形になっているわけであり、これは一般的にも理解しやすいであろう*6。一方、その保証を「保険」する公庫保険については、まずその基本構造自体が、保険事業を行う旨を規定する、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号。以下「日本公庫法」という。)と、保険事業そのものを規定する、信用保険法という2つの法律に分かれている。このため、ある法律を読めば信用保険事業が網羅されている、というようなことにはなっていないのである。では、どのように解すれば分かりやすいか。ここは、まず日本公庫法、次に信用保険法という順序で述べていくこととしたい。日本公庫法は、政策金融改革により、それまでの政策金融に係る機関を一本に統合する形で制定された法律であるため、一見しただけでは分かりづらいものの、信用保険に係る記載はさほど複雑ではない。日本公庫法は、信用補完制度という観点からは、公庫保険を、次に述べる信用保険法に基づく「信用保険」を実施する機関として位置づけている法律である。そこで、まず同法第11条第1項第1号及び第3号並びに別表1第15号にて、公庫保険から信用保証協会に対し、貸付(信用保証協会への資金繰り支援)及び信用保険を行うことが、公庫保険の業務として明示されている。とはいえ、その業務(特に信用保険)を無尽蔵に引き受けることは財源の問題がある以上困難であるから、同法第31条第2項第4号ニに基づき、政府関係 34 ファイナンス 2023 Aug.(1)日本公庫法

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る