ファイナンス 2023年8月号 No.693
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*2) 中小企業庁HPにおいても解説されているので、詳細はこちらを参照されたい(脚注3及び4において同じ。)。 https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_4gou.htm*3) https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm ファイナンス 2023 Aug. 31信用補完制度の解説一般的な言い方ならば「監督官庁」であろうか。以下同じ。)からすれば、その自然災害等の単位で実績が分かるという特徴もある。一般的に台風や地震等、大規模な自然災害が発生した場合は、このSN保証4号が、経済産業大臣の指定に基づいて発動されるため、実務的な感覚としては、災害対応時の定番保証メニューである。具体的な保証内容は、民間金融機関が行った融資額の100%を保証する。なお、参考までに述べておくと、上記融資は、下記の両条件に当てはまることについて、市区町村長の認定を受けた者が対象となる。一般的には、実際に融資を申し込まれるユーザーの目線から解説等されることが多いため、こちらの内容で認識されている方が殆どであろう*2。(イ)指定を受けた地域において1年間以上継続して事業を行っていること。(ロ)上記の指定を受けた災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高。以下「売上高等」という。)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。そして、代位弁済を行った場合には公庫保険よりその保証額の80%が填補される(融資額の80%を公庫保険が保険する)仕組みとなっている。ちなみに、このSN保証4号は、今般の新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)対策においても最も活用されている保証メニューである。新型コロナは、信用保険法第2条第5項第4号にいう「災害その他の突発的に生じた事由」に該当するところ、その適用地域を「全国」として対応することで、第1回で述べた民間ゼロゼロ融資の実施等を可能とするベースとなる制度として活用される等、現在まで引き続き活用されている。SN保証5号は、昭和48年、高度経済成長が終わりを迎え、産業構造の急激な変化の中で、不況に陥る特定の業種に属する事業を行う中小企業を支援するため創設されたものである。より詳細を述べると、SN保証5号創設前のSN保証では、大企業の倒産等に起因するもの(現在のSN保証1号及びSN保証2号)のみが措置されていたところ、こうした背景の中で、特定の業種ごとに別枠の保証を可能とし、一時的な不況を乗り切ることや事業転換を後押しするために措置されたものであった。そして、このSN保証5号は、経済産業大臣の指定する業種に対して適用されるものであるため、主務省からすれば、具体的な不況業種の状況を把握することができるという特徴がある。具体的な保証内容は、民間金融機関が行った融資額の80%を保証する。なお、参考までに述べておくと、上記融資は、下記どちらかの条件に当てはまることについて、市区町村長の認定を受けた者が対象となる*3。(イ)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の者(ロ)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない者そして、代位弁済を行った場合には公庫保険よりその保証額の80%が填補される仕組みとなっている(すなわち、80%×80%により、融資額の64%を公庫保険が保険する。イメージとして図表1を参照されたい。)。ちなみに、平成30年3月31日以前に保証申込みの受付がされた融資については、民間金融機関が行った融資の100%を保証していた。一方、信用保証への過度な依存を防止しつつ、民間金融機関がより前面に立って、経営改善や事業転換が促されるようにという観点に基づき、同年4月1日から、SN保証5号を責任共有制度(信用保証制度にお(2)SN保証5号

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