5円43210543210 [2]. 服部孝洋(2023a)「我が国TLAC規制―ベイルアウトからベ(注)各TLAC債は別の通貨で発行されていますが、円に換算してこのグラフを作成しています。また、この対象となっているものはBloombergで取得しているものに限っている点に注意してください。(出所)Bloomberg(注)各TLAC債は別の通貨で発行されていますが、円に換算してこのグラフを作成しています。また、この対象となっているものはBloombergで取得しているものに限っている点に注意してください。(出所)Bloomberg図表1 通貨別TLAC債の発行額推移(兆円)図表2 発行体別TLAC債の発行額推移(兆円)米ドルユーロ201620172018MUFG201620172018三井住友みずほ豪ドル香港ドル20192020202120192020202120222022ファイナンス 2023 Aug. 29参考文献[1]. 服部孝洋(2022)「バーゼル規制入門―自己資本比率規制を中心に―」『ファイナンス』10月号.イルインへ―」『ファイナンス』6月号.[3]. 服部孝洋(2023b)「我が国におけるTLAC規制―我が国4SIBsに対する破綻処理スキーム―」『ファイナンス』7月号.[4]. 吉井一洋・金本悠希・小林章子・藤野大輝(2019)「詳説 バーゼル規制の実務―バーゼルIII最終化で変わる金融規制」きんざい野村TLAC規制に係るその他の話題図表1がTLAC債の発行額の推移になります。図表1をみると、TLAC債はドル建てがメインであり、その次に多く発行されているのがユーロ建てであることがわかります。一方、円建てのTLAC債は一定程度発行されているものの、年間の総額に対してわずかにすぎないことがわかります。外貨建てが多く、円建てが少ない理由として、預金等を通じて円を十分に調達することができているため、外貨の調達を積極的に行ったこと等が考えられます。図表2が発行体別でみたTLAC債の発行額の推移になります。2016年から3メガバンクのTLAC債の発行が始まり、2018年から野村HDが加わったことが確認できます。TLAC債は、ベイルインを通じ、納税者負担や金融システムの混乱を招くことなく、巨大な金融機関を処理するための調達手段です。しかし、仮に別の金融機関がTLAC債を保有していると、その金融機関がTLAC債の元本削減や株式転換を通じて損失を被ることになり、むしろ金融機関の間で危機の連鎖を招き、金融システムを不安定にする恐れがあります。そのため、金融機関がTLAC債を保有することを妨げるよう、一定のペナルティが課されています。これを「TLAC保有規制」といいます。このような措置はバーゼル規制上のベイルイン調達手段であるAT1債やBⅢT2債にも存在し、ダブル・ギアリング規制と呼ばれています。TLAC保有規制については、バーゼルⅢ最終化前と後で異なる他、国際統一基準行と国内統一基準行、さらに、経過措置も設けられており、非常に複雑です。簡潔にバーゼルⅢ最終化後のイメージを説明すれば、金融機関がTLAC債を保有した場合、国際統一基準行については原則、一定の条件で自己資本控除となり、資本控除とならない部分についてはリスク・ウェイト150%という形で、ペナルティが課されています(リスク・ウェイトと自己資本控除の関係については服部(2022)のBOX 2を参照してください)。TLAC保有規制の詳細を知りたい読者は金融庁告示や実務家の資料等を参照してください。3.2 TLAC保有規制
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