ファイナンス 2023年8月号 No.693
25/80

ファイナンス 2023 Aug. 21何かの弾みで瞬間瞬間を大事にしようという気持ちが強くなってくると、一期一会の気持ちの「対象」が広がる。相手が人でなく物であっても、写真でなく自分の目に焼き付けておこうと思い、時間がかかることがある。しかしこれが行き過ぎると支障が生ずる。海外出張で宿泊するホテルの部屋は99.99%二度とそこに戻ることは無いが、最近、その思いが突然生じチェックアウト前に名残を5秒惜しんでから部屋のドアを閉めることがある。ああもうこの部屋には戻ることはないのかと。こんなことを至る所でやっていると人生も出張も先に進めないが、1つ1つ折り合いをつけていくのも人生の楽しみかもしれない。エイゴは、辛いよ。(2023年番外編)そしてその後、ビデオ面談とメールのやり取りで、現地での実施パートナー等につき順調に話を進めている。暖炉の傍での談話はFireside Chatと言うが、ビニールハウスでの面談は、エイゴで何と言うのだろう。不思議な話は続くもので、次は本年5月、ウクライナのインフラ担当の政府関係者や自治体の副市長等の来日の情報を得た。是非時間を頂いて面談したいと主催者側に依頼したが、多くの面談が既に予定され、「どうしても、どうしても時間の空きが無く・・・大変申し訳無いのですが、時間が取れるのは一行が東京の宿泊先から横浜に移動するバスの中だけで・・・。」またヨコハマ?これも何かの縁か。即時OKし、当日品川のホテルに向かい、バスに乗った。既に何故か気分は高揚し、マイクを持つと人生初のバスガイドの気分になる。(おわり)(2)ヨコハマ行きのバスガイド見ると、やはり乗客のウクライナの人たちは、硬い。一流のバスガイドとしては、雰囲気を柔らかくしないといけない。短く自己紹介をし、日本の技術でウクライナに貢献したいので技術内容を説明したい、と告げ、だんだん関心を示してきた頃合いを見計らい、こう述べた。「This is a once-in-a-lifetime experience for me, to explain Japanese technologies in a BUS(バスの中で日本の技術を説明するのは、恐らく私の人生で最初で最後でしょう。)」どうしてか分からないが、これは受けた。私のスタッフがその瞬間を撮った写真がこれである。お蔭様で、ウクライナの人たちを笑顔にすることが出来た。それだけでも、バスに乗った甲斐もあったというものだ。この時のエイゴは、間の取り方も含め、「切れた」と思う。一期一会を大事に出来た。エイゴは、むずかしい。だけど、悪くないよね。また、お会いしましょう。[コラム]一期一会ウクライナの方々と話をする機会は、滅多にあるものではない。まさに一期一会と、気合を入れて話をするようにしている。本当に特別な状況に置かれている国の人々であるから、エイゴで話すという多少の高揚感を伴う状況であれば、「My heart is always with you and the whole Ukrainian people」ということも気持ちを込めて言える。(困った事には、日本語ではなかなか言えない。。。)

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る