ファイナンス 2023年8月号 No.693
17/80

写真 5 主計局次長 中村 英正 井上咲楽さん 自分も少子化の答えは子供を産むことしかないと分かってはいますし、このまま少子化が進むとより少ない若者で年配の方を支えなくてはならなくなることは分かっていますが、なかなか自分事として考えるのは難しいです。将来に不安はあるものの、周囲から何か言われることもないし、何とかしなきゃという使命感もないのが正直なところです。今は自分の可能性をいっぱい探りたい感じです。日向寺室長 それは多様性が尊重されていることでもあり、生き方を強制されないということなので、それ自体はとても良いことではあると思います。若い人の方が考え方が柔軟で発信力もあるので、まずは関心を持って頂いて、色々と意見を頂きたいです。井上咲楽さん 私は選挙に関心があって、選挙期間中は50カ所くらい見に行ったりします。目の前の生活に不自由はないものの漠然とした不安は抱いていて、同世代にもそういう人は多いと思います。統一地方選の時だと、地域によって子育て支援の内容が違っていたりもして、そういう身近なことに関心を持って投票に行く人が多いと思います。一点伺いたいのですが、選挙結果によって予算の分配が変わることはあるのでしょうか?中村次長 選挙の結果、政権交代が起きれば、当然予算の配分も変わります。仮定の話ですよ、念のため。交代がなくとも、公約を掲げた選挙を通じて民意は予算面に少なからず反映されます。その時々の勝ち負けの中で、試行錯誤を重ねつつ、バランスを取りながら良い道を見つけていくのがあるべき姿だと思います。普段は政治に関心が薄くても、選挙を機に「こんな人がこんな主張をして立候補しているんだ」と若い人にも関心を持ってもらえると良いですよね。井上咲楽さん ところで、私も個人事業主なのですが、インボイス制度のことがよくわかっていないのですが…。もしその制度に対応しないと、個人事業主側はどうなるのですか?池田主任 消費税率が8%と10%に分かれていますが、複数税率の下で、事業者が消費税の税額を正確に計算するために必要な仕組みとして、売り手が買い手に対して消費税の適用税率や税額が分かる書類(インボイス)を交付することを義務付ける制度がインボイス制度です。それを発行するためにはインボイス発行事業者になる必要があります。軽減税率の導入と同じく平成28年に導入が決まったもので、今年10月から始まります。仕入れる事業者側からすると、インボイスの保存が無いとその仕入れにかかった消費税額を控除できなくなります。そのため、インボイス発行事業者であることが、契約の一つの要素となると考えられます。一方で、小規模事業者がインボイス登録の有無で不利にならないように公正取引委員会等とも連携して、取引環境の整備に努めています。中村次長 インボイス制度も消費税も、制度を変えるたびに大きな議論になりますが、税や予算に関心を持って頂くのは良いことだと思っています。負担に関わるテーマは、関心の高さが反対の多さにもつながるところは辛い面もありますが、無関心であったり、SNSなどで一方の意見だけに接するよりは、関心を持ってもらい、メリデメ両論あることをわかって頂きたいですね。池田主任 私は仕事で税制に触れていますが、自分の給与明細を見て、支払っている所得税の金額を確認しています。こうした素朴な感覚は、大事にしていかなければいけないと思っています。井上咲楽さん こうして色々とお話していると、財務ファイナンス 2023 Aug. 13選挙への関心についてインボイス制度について支出と税収のバランスについて

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る