[プロフィール]髙本 祐貴:(写真右)国税庁データ活用推進室課長補佐2015年4月に国税庁に入庁。国税庁・税務署等での勤務のほか、英国留学や、経済産業省での税制改正業務などを経て、2022年7月より現職。国税庁におけるオープンデータ関連の取組方針策定や統計業務を担当。米田 泰隆:(写真左)財務総研総務研究部主任研究官2010年7月に財務総研研究部研究企画係に配属。その後、一橋大学への国内留学等を経て、2022年9月に一橋大学で博士号(経済学)を取得。現在は、財務総研のほか、国税庁データ活用推進室及び税大研究部にも所属し、税務データ共同研究における関係各所の調整役を担っている。(https://www.digital.go.jp/resources/open_data/)*6) 申告納税制度とは、国の税金は、納税者が自ら税務署へ所得等の申告を行うことにより税額が確定し、この確定した税額を自ら納付する制度のこと。*7) 詳細は、デジタル庁のHPを参照。 渡邊:今回、国税庁の行政データ利活用の取組についてインタビューの機会を頂きありがとうございます。まずは、共同研究が開始するに至った背景を教えてください。髙本:まず、大前提として、税務データについては、申告納税制度*6の下、納税者の信頼や協力によって集積しているものであり、適切に取り扱う必要があります。その一方で、「オープンデータ基本指針*7」をはじめとした政府保有データのオープン化に係る政府方針も背3 国税庁職員へのインタビュー 70 ファイナンス 2023 Jul.景に、税務データの利活用については国税庁独自に有識者を交え検討を重ねておりました。その議論においては、個票データの利活用に対するニーズが高く、そこに焦点を当てて検討を行った結果、まずは共同研究という形式から始めることが適切であるという結論が得られたところです。その後、研究テーマの公募や、有識者会議における審査、採択決定を経て、2022年4月より、税大との共同研究を開始いたしました。稲葉:税務データという極めて機微な情報を共同研究で利用するにあたって、具体的にはどのような仕組みで共同研究を実施されているのでしょうか。髙本:繰り返しにはなりますが、税務データについては、納税者の信頼や協力によって集積しているものであり、適切な取扱いが求められます。したがって、個票データを利用される場合については、税大の任期付き職員(客員教授)に任用され、私たち国税職員と同じく国家公務員法等の守秘義務が課される仕組みとしています。また、実際の運用においては、氏名等が削除された個票データの利用となり、その利用も税大施設内・税大端末に限定しています。個票データから得られた分析結果については、税大施設外に持ち出すこと
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