ファイナンス 2023年7月号 No.692
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Future TALKFuture TALK○○さんと○○さんと日本の未来とイマを考える日本の未来とイマを考える写真 1 右から二人目が成田悠輔さん原田広報室長 皆さんよろしくお願いします。本企画では、財政や税の役割とその現状等について、読者のみなさまにわかりやすく伝えられるよう、様々な分野の方をお招きして未来やイマについてトークをしてもらいます。第四回として、経済学者であり、鋭すぎる的確な切り口で発信もされている成田悠輔さんをお招きし、財務省の主計局・松本課長、主税局・河本課長と対談をしてもらいます。成田さんには、財政や税制等についてズバリと切り込んだ疑問やご意見をいただければ幸いです。成田悠輔さん 今日は外からは見えにくい、財政政策・予算編成の制度と現場について教えていただければと思い、ノコノコと出て参りました。河本課長 主税局の河本です。すみません。今日は対談を始めるに当たって最初にはっきりさせておきたい論点がありまして口火を切らせていただきます。成田さんは、昨年「集団自決」の発言が取り上げられ炎上されていたと思います。「集団自決」という表現はまずいものだったと思っていますし、おそらくご自身も適切ではなかったと考えられていると思いますが、発令和5年6月5日(月)開催(対談者の肩書は同日現在) 2 ファイナンス 2023 Jul.言の趣旨についてまず教えていただければと思います。成田悠輔さん 「集団自決」という単語はよくなかったです。21年の発言で、それ以降面白がって繰り返してほしいと言ってくるメディアや人も多かったのですが、自分自身その表現はよくないと思ってやめたものです。一方で、主張の中身はシンプルで今も変わっていません。日本社会に新陳代謝を起こすべきというものです。政財界やメディア・芸能が典型ですが、権力を同じ組織や大御所が牛耳っており、顔ぶれが数十年ほとんど同じです。この感じが「この国で頑張ってもしょうがない」という諦めの雰囲気を次世代に生み出してしまっているのではないでしょうか?この状況を変え、世代交代がどんな変化を引き起こすか検証するために、新陳代謝や世代交代を文化にしていく社会実験が必要だと考えています。そのために、田原総一朗さん、経済同友会の櫻田・前代表幹事や首相経験者の方など大御所にお会いする度に「引退してほしい」とお願いして嫌がられている次第です。これは社会的な引き際の問題ですが、広げれば終末医療や死生観などの生物的引き際、今日の議題の一つでもある社会保障と財政の話にまでつながると思います。河本課長 なるほど。色々な文脈を説明される意図で敢えて強烈な言葉で訴えたということでしょうか。成田悠輔さん はい。この件に限らず、社会へのめざましを意図した強烈な言葉には意義があります。もちろん負の副作用もあり、ご批判はいくらでもいただければと思います。それで私が打撃を受けたり仕事を失ったりする可能性ももちろん引き受けます。逆に自分も財務省の方に聞いてみたかったのですが、世間の一部で展開されるいわゆる「ザイム真理教」批判をどう捉えているのでしょうか。はじめに財政と民主主義について成田 悠輔さん(経済学者)編

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