120222020202910281027102610241025102310221021102)標目(0302(図表4)各国の主要IR(出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査」「明日の日本を支える観光ビジョン」、日本政府観光局「訪日外客統計」、各種報道等(図表1)訪日外国人旅行者数/旅行消費額(兆円)(百万人)168014706012105084063020410200※1$=110円で計算(出所) 大阪府・大阪市・大阪IR「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画」、長崎県・KYUSHUリゾーツジャパン「九州・長崎特定複合観光施設区域整備計画案」、みずほ総合研究所「アジア近隣諸国をはじめとする世界各国のIRにおける経営戦略等及び再投資に関する事例調査」、Las Vegas Sands Corp Annual Report、第8回特定複合観光施設区域整備推進会議「公共政策としてのIRについて」施設名Caesars PalaceWynn Palace米国 中国 所在地ネバダ州ラスベガスマカオ特別行政区 コタイ地区Caesars 運営会社EntertainmentWynn Resorts開業年1966年8月5日2016年8月22日2010年4月27日2029年秋~冬2027年度内4,383億円初期投資額規模敷地面積:348,030m2カジノ面積:37,875m2ホテル:3,970室カジノ:160テーブルゲーム(160台)、ゲームマシン(1,440台)その他:ショッピングモール、スパ、レストラン、コンサート・ショー等42億米ドル (約4,620億円)敷地面積:205,800m2カジノ面積:39,391m2ホテル:1,706室カジノ:320テーブルゲーム(320台)、スロットマシン(1,041台)その他:ショッピングモール、コンベンションセンター、プール、ゴンドラライド、アート展示等施設構成・IRとは、カジノ施設のほか、ホテルや劇場、国際会議場や展示会場等のMICE施設、ショッピングモール等が集まった複合的な施設を指すものであり、Integrated Resortの頭文字の略で、統合型リゾートとも呼ばれる。日本では観光立国の目玉としてIR導入が検討され、2016年にIR推進法、2018年にIR整備法が成立し、2023年4月に大阪府市の整備計画が初認定された。・政府は、2030年に訪日外国人旅行者数を6,000万人、訪日外国人旅行消費額を15兆円とする目標を掲げている。これはコロナ以前で最多となった2019年の年間約3,200万人、約4.8兆円を大きく上回る目標となっており、IR誘致はこれらの目標実現を後押しする施策として期待されている(図表1)。・IR誘致を表明した自治体は大阪府市を含む大都市圏を中心に複数見受けられている。一方、外国人観光客が訪れる日本の王道観光ルート以外の長崎県等の地域も誘致を表明し、インバウンド増加を通じて地域活性化を目指している(図表2)。・訪日外国人の旅行消費額の内訳をみると、宿泊費、飲食費、買物代等が大宗を占めており、娯楽等サービス費の内訳は大きくない。IR誘致により、娯楽等サービス消費の喚起が期待されるとともに、宿泊費・買物代といった従来型の消費についても一層の拡大が見込まれる(図表3)。・海外では、米国(ラスベガス)を先駆けとして、中国(マカオ)、シンガポール(マリーナベイ)等で大規模なIRの整備が進められてきた。各国の主要IRをみると、IRの大部分はホテル、ショッピングモール、コンベンションセンター、美術館、劇場等のエンターテイメント施設が占める。カジノ施設を目的とした訪問者だけでなく、昼夜問わず、多様な訪問者を受け入れる余地がある点がIRの特色といえる。大阪府市、長崎県におけるIRの規模・施設構成は、各国の主要IRと同程度となっている(図表4)。一方、ラスベガス・マカオ・シンガポールにおいて複数のIRを運営するラスベガス・サンズ社の決算等を確認すると、収入の大部分はカジノ事業から生じており、コロナ禍以降は行動制限等によりカジノや会議場を含めた総売上が7割近く減少している(図表5)。・シンガーポールにおいて、マリーナベイ・サンズ開業以前の2009年と開業後の2014年を比較した場合、外国人旅行者数は1.56倍に、外国人旅行消費額は1.86倍にそれぞれ増加しており、特にエンタメ関連の旅行消費額の伸び率が高くなっている。また、国際会議の開催件数や、業務出張や国際会議への参加を目的とした訪問者数(BTMICE)についても同様に増加しており、カジノ以外の施設による誘客効果も確認されている(図表6)。外国人旅行客数外国人旅行消費額(右軸)-※各種報道を踏まえて当課作成Marina Bay Sands大阪IR(仮称)長崎IR(仮称)シンガポール マリーナベイ地区日本 日本 大阪府大阪市夢州長崎県佐世保市KYUSHUリゾーツ ジャパン株式会社 Las Vegas 大阪IR株式会社 (MGMリゾーツ、 Sandsオリックス、少数株主等)(カジノオーストリア等)56億米ドル (約6,160億円)1兆800億円敷地面積:492,680m2敷地面積:155,000m2カジノ面積:65,166m2カジノ面積:15,000m2ホテル:2,561室ホテル:2,500室カジノ:テーブルカジノ:テーブルゲーゲーム、スロットム(470台)、スロットマシンマシン(6,400台)その他:ショッピその他:ショッピングングセンター、コセンター、コンベンションベンションセンンセンター、美術・科ター、美術・科学学博物館、劇場等博物館、劇場等敷地面積:322,000m2カジノ面積:46,480m2ホテル:2,522室カジノ:テーブルゲーム(400台)、スロットマシン(3,000台)その他:ショッピングセンター、コンベンションセンター、美術館、劇場等計画認定もしくは申請済みの自治体過去に誘致を表明していた自治体愛知県名古屋市(金城ふ頭)愛知県常滑市(中部国際空港島)和歌山県和歌山市(和歌山市マリーナシティ)長崎県佐世保市(ハウステンボス)(十億米ドル)1614121086420201720182019202020212022MallRooms北海道留寿都村北海道釧路市北海道苫小牧市東京都港区(お台場)千葉県千葉市(幕張)神奈川県横浜市(山下ふ頭)大阪府大阪市(夢洲)Convention, Retail and otherFood and beverageCashino(%)100806040200ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ2023交通費2018宿泊費娯楽等サービス費外国人旅行者数968万人1,510万人156%外国人旅行消費額※1.00兆円1.86兆円186%外国人旅行消費額※(エンタメ関連)国際会議開催件数BTMICE目的別訪問人数261万人377万人144%ホテル客室1,134万室1,470万室130%ホテル稼働率75.8%85.5%113%ホテル客室単価※14,950円20,351円136%※1S$=78.75円で計算158億円4,586億円2897%689件850件123%2019飲食費買物代(図表2)IR誘致を過去に表明した自治体(図表5)ラスベガス・サンズ社のセグメント別収入(図表3)訪日外国人の旅行消費額内訳(図表6)シンガポールの旅行者数等2009年2014年対2009年比海外の主要IRとの比較大臣官房総合政策課 伊藤 恭平/大村 直人本稿では、IR誘致の状況と、IR整備に伴う経済波及効果について考察する。IR誘致の意義と政府目標についてコラム 経済トレンド109 54 ファイナンス 2023 Jul.IR誘致について
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