ファイナンス 2023年7月号 No.692
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*11) 昨年、為替介入によって大きく円高に振れたとき、研究室で歓喜の叫び声が上がりました。*12) ハーバード大学勤務のため同行した医療資格を持つ配偶者で起業した方がいました。*13) 民主党の政策スタッフで日本のバスケットボールチームのコーチ、ハワイ出身の日系三世、フランスからの研究者の配偶者と日本語・英語の交換レッスンをしました。*14) 「連邦予算政策」の授業で、日本の予算制度について説明を求められました。*15) 社交ダンスは、ペアで踊るダンスで、二人の息が合うことが重要です。このような社交ダンスの特徴を生かし、社交ダンスを教えることで、荒れた学校を立て直したという実話に基づいた2007年の映画「レッスン」があります。不良生徒を魅了した情熱的なタンゴ、生徒たちの楽しげなダンスが見られますので、ぜひご覧ください。*16) 剣道部に参加した研究員もいました。ハーバード大学主催の全米大学剣道大会は、橋本総理(当時)より優勝杯が寄贈され、「昇龍杯」と命名されています。*17) 東京大学でも教授を務める今井耕介教授は、両大学の学生の最も大きな違いとして、この寮生活を挙げていました。*18) 日本の大学での競技ダンスについては、二宮敦人著、「紳士と淑女のコロシアム『競技ダンス』へようこそ」が面白かったです。*19) 私たちも、タフツ大学の競技会で入賞することができ、ダンス部のジャンバーを着せてもらいました。また、競技会にもプロ選手も参加する米国東部ダンススポーツ競技会複数のペアで踊るフォーメーションダンスのアマチュア部門で優勝し、卒業発表会でも披露しました。ファイナンス 2023 Jul. 41ハーバード大学研究生活と社交ダンス部体験記かかります。レストランですと、サンドイッチランチでも、食後にコーヒーまで飲むと5000円程度かかりました。毎日の円ドル相場の動きが気になる1年間でした*11。留学とは異なり、長期派遣制度の場合、配偶者は就業可能です*12。大学では、英会話、日本文化などの配偶者プログラムや語学交換プログラム*13もあり、様々な異文化も経験できました。次に、大学の授業の様子をご紹介したいと思います。日米プログラム参加者は、毎期、2~3つの授業を聴講することが勧められています。実際に政権に関与した教授による講義も多く、財務省関連では、サマーズ元財務長官の講義がありました。講義では、授業への参加も評価されるためか、生徒は授業中に積極的に発言します。毎回同じ席に座り、名札を出しますので、時には先生から指名され、発言を求められることもあります*14。シラバスは詳しく、事前に読むべき論文も掲載されており、時にはその分量が100ページを超えることもありました。そのため、講義に参加することは論文作成に大変役立ちましたが、学期中は、授業についていくのが精一杯で、論文を書いている余裕はありませんでした。社交ダンス部入部体験についてオーストリア勤務を契機に始めた社交ダンス*15を通じて、米国の学生の生活を知ってみたいと考え、社交ダンス部に入部しました*16。まずは、寮生活についてです。学部1年生は、大学内にある寮に住むこととなっており、食事も共にします。2年生になると、大学の外ですが、隣接する寮に移り、寮生の一体感は強いとのことです*17。どの寮も立派で、広々とした中庭、ジム、ビリヤード、ラウンジなども併設されています。ダンスを踊れる多目的室もあり、卒業発表会の前で、追加の練習が必要な時に利用しました。近代的なマンションタイプの寮もありますが、ダンスの練習に使用した寮の食堂は、小説「ハリーポッター」の寮を思わせるような古風な雰囲気でした。大学主催の競技会や卒業発表会後の打ち上げ会で寮の居住スペースにも入りました。居住部は4室程度の個室に共用スペースがあるといった構造で、特に男女別にはなっていませんでした。お酒はウォッカなど、値段の割に早く酔えるお酒でした。また、アメフトの交流戦で来ていた他大学の学生が、宿泊費を浮かすため共用スペースで雑魚寝をしていました。その辺りは、日本の大学生とも似ていると思いました。ハーバード大学社交ダンス部は、1990年に設立された学部生のサークルです。様々なスタイルの社交ダンスの振興や競技会の支援を目的に、練習会などを開催しています。初心者向けと中級者向けの講習会と自由練習があり、ほぼ毎日、練習ができます。練習場所は、大学、学生寮と体育館です。大学と学生寮は食堂を利用しているためか、開始時間が午後9時以降と遅く、深夜まで続きました。日本とは異なり、大学別の団体戦はありませんが*18、競技会で入賞すると大学名と合わせて名前が呼ばれます。また、大学主催の競技会や卒業発表会に向けての練習などで、チームの一員としての参加意識を感じました*19。それでは、Happy Dancing!(Harvard Ballroom Dance Teamのあいさつです)おわりに以上、個人的な経験に基づく主観的な感想を述べましたが、今後、ハーバード大学国際問題研究所に勤務する機会があれば、ご参考にしてください。更に個人的意見ですが、社交ダンスを試してみてください。性別、年齢を問わず楽しんでいただけると思います。

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