― (*) バーゼルⅢ適格(シニア債等)(4)外部投資家に損失を移転*16十分な自己資本比率十分な自己資本比率十分な自己資本比率株式・社債等のベイルイン(出所)金融庁グループ全体の自己資本比率持株会社単体の自己資本比率*16) (4)の段階では外部投資家に損失を移転した後であるため、持株会社はブリッジHDのことを指している点に注意してください。*17) 通常の企業の破綻処理においては、裁判所の関与の下で債権者順位に沿った弁済が行われます。対して銀行の破綻処理では、通常の企業の場合と異なり迅速な損失吸収・資本再構築が求められます。よって、ベイルインという形で、事前に契約上定められたトリガーや、行政上の措置を通じて円滑に債務再編を行う手続きが、代替手段として整備されています。FSBの「主要な特性」においても、清算時における債権者順位を尊重する形で破綻処理を行うべきとされています。*18) 危機が生じてから新たにブリッジHDを設立していては迅速な処理ができないため、預金保険機構傘下には平時から既に「特定承継会社」として5社の法人が設立されています。危機時にはこれらの特定承継会社に対して預金保険機構が追加出資や貸付を行い、十分な資金基盤を確保した上でブリッジHDとして活用されることになります。(https://www.dic.go.jp/kikotoha/kogaisha.html)タイミング損失移転メカニズム(1)銀行で損失発生債務超過資産超過子会社の銀行単体の自己資本比率債務超過(2)(3)親会社に損失を移転債務超過債務超過十分な自己資本比率持株会社から子会社の銀行に対する債権(貸付等)の元本削減/株式転換ファイナンス 2023 Jul. 33その他Tier1資本*①内部TLACを用いた主要子会社の損失の吸収図表3 本邦4SIBsに対する望ましい破綻処理図表4 持株会社に損失を移転させる共に、持株会社の株式や社債等を通じてベイルイン図表5 子会社における損失からベイルインまでの整理我が国におけるTLAC規制外部TLAC適格負債普通株式等Tier1資本持持株株会会社社形形態態をを採採るる本本邦邦TLAC対対象象SIBsのの秩秩序序ああるる処処理理のの一一例例(銀行)(証券)金融危機対応会議金融危機対応会議金融危機対応会議内閣総理大臣内閣総理大臣Tier2資本*②特定認定国内処理対象会社(持株会社)主要主要子会社A子会社B主要子会社は通常通り営業を継続(その他)(銀行)④持株会社の倒産手続等③銀行持株会社のシステム上③持株会社のシステム上重要な取引に係る事業等重要な取引に係る事業等(主要子会社の株式を含む)(主要子会社の株式を含む)の譲渡の譲渡主要主要子会社C子会社A預金保険機構特定承継金融機関等主要主要子会社B子会社C受受皿皿ととななるる金金融融機機関関等等特定認定から原則2年以内に再譲渡(証券)(その他)(参考図)100%出資における損失からベイルインまでのプロセスにかかる各主体の自己資本比率の流れを整理しています)。なお、このベイルインにおいては、原則的には普通株式、AT1債、BⅢT2債、その他TLACという債権者順位に沿って損失吸収が行われます(この部分はもう少し丁寧に後ほど説明します)*17。*16*17破綻処理前後を通じて子会社である銀行等の業務を継続するため、図表6のとおり、債務超過に陥った持株会社から、預金保険機構傘下に設立されているブリッジHDに子会社株式等を移行させることで、主要子会社は継続して取引を行うことが可能になります。ここでのポイントは、ブリッジHDは預金保険機構傘下に設置されている点です*18。具体的には、預金保険機構が政府保証により資金調達をしたうえで、ブリッ
元のページ ../index.html#37