全債権国 (18か国) G7 パリクラブ 11カ国債権国が世銀に報告した貸付残高の合計途上国が世銀に報告した債務残高の合計629億ドル551億ドル78億ドル564億ドル500億ドル64億ドル両者の差額 (データギャップ)65億ドル51億ドル14億ドル世銀と途上国は、データギャップの要因を確認し、正確なデータを統計等に反映(世銀への貸付データ共有とデータ突合の取組みのイメージ図)(世銀による債務データ突合により判明した債務データのギャップ)各国は途上国への貸付契約ごとの詳細データを世銀に共有データ共有データ共有 20 ファイナンス 2023 Jul.途上国(低所得国か国)世界銀行データ突合の実施かったが、やるべきことは一通りやった。2023年2月1日、日本(私の名前)及びフランス(パリクラブ事務局長)の連名で、G7を含むパリクラブメンバーに、作業開始を依頼するメールを送付し、添付のエクセルのフォーマットに各メンバーの貸付契約ごとのデータを埋めてほしいと要請した。世銀側の作業に要する時間から逆算して、3月初旬までに世銀にデータ共有するよう依頼した。この結果は、途上国側が一部の借入の存在を認識していない可能性があることを示唆している。債権国か債務データ突合を実施して分かったこと蓋を開けると、合計18か国ものメンバーが、この取組みに参加したことが判明した。G7に加え、豪、ブラジル、デンマーク、フィンランド、イスラエル、韓国、オランダ、ノルウェー、スペイン、スイス、スウェーデンの11カ国の有志国が参加した。パリクラブ全22か国中、18か国の参加であり、上出来である。各国が世銀に提出した貸付契約は計3,655件に上った。世銀がこれに基づき、データ突合を実施した結果、債権国が報告した貸付残高が、途上国からの報告に基づく世銀のデータベース上の債務残高より、約1割、大きいことが明らかになった。らすれば、途上国側には借入額を正確に認識してもらう必要がある。途上国からすると、責任官庁が把握していない借入を、公的セクターのどこかが行っている疑いがあることを示唆している。債務の持続可能性を確保する観点から、重要な指摘となり得る。2023年5月13日に発出されたG7財務大臣・中銀総裁による声明では、「我々は、有志の他の債権者と共に、初のデータ共有の取組を通じて、債務データ突合のために世界銀行グループに詳細な貸付データを提供することによって、模範を示した。我々は、初期段階で計65億米ドルに上るデータギャップを特定したこの取組の結果に勇気づけられている。このような目に見える恩恵を念頭に、我々は、全ての公的二国間債権者が、債務データの正確性の分野におけるG20のイニシアティブをさらに前進させることを含め、債務データ突合のためのデータ共有の取組への参加を促す」旨のメッセージが盛り込まれることとなった。
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