ファイナンス 2023年7月号 No.692
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関東財務局・G7新潟奮闘記G7新潟は、関東財務局の国際会議応援としては、2017年5月に横浜市で開催された「第50回アジア開発銀行(ADB)年次総会」以来となった。業務体制としては、本年1月に2名、2月に3名を専担者発令し、最初の大きな業務として、3月中旬に各国の在京大使館職員等を対象とした現地説明会の準備・運営を行った。在京大使館向け説明会大使館職員、財務省・日本銀行リエゾン職員等約70名に、会場の朱鷺メッセのほか代表団宿泊ホテル、新潟駅等を大型バス2台で巡り視察してもらった。準備段階では、バス乗降やホテル内EV乗降を何回も繰り返す必要がある中、この人数にどうスムーズに回ってもらうか苦心したが、当日はことのほか順調に進んだ結果、1時間近く前倒しで進み、ホテルにお願いして昼食を早めてもらうなど、関係者の協力も得て無事乗り切った。そして、財務官室や新潟市との打合わせを繰り返して臨んだ会議本番、専担者も含め40名の応援者が、歓迎レセプションや金融庁サイドイベント、政府主催夕食会等の誘導、プレスセンター業務、新潟駅での接遇、リエゾン業務等に従事した。新潟駅新潟駅での接遇業務は、上越新幹線12両編成のどの車両に代表団が乗車していても対応できるよう、1列車当たり8名の陣容で臨んだ。最終列車で到着する代表団もあり、対応は深夜に及んだ。駅への到着時間の急な前倒しによる予定外の早朝対応や、送迎車両を追加したい、車両までの動線を変更したいといった各国からの要望への対応など、当初の計画と異なる対応を求められることも多々あったが、JRや県警、会議運営業者等と良好な関係を築くことができたこともあり、無事に送迎を終えることができた。リエゾンcolumnリエゾン業務を行った応援職員においては、会期前のGW中も、会期中にあっては早朝から深夜まで、担当国からの様々な質問や要求に応え、時には突発的な対応に追われた。担当した職員から「語学力以上に精神力が必要」との後世へのメッセージが残されるほどの業務だったが、担当国等から感謝の言葉をいただけるなどやりがいを感じていた。関連イベント「G7記念授業」本会議の関連イベントとして、新潟市G7サミット推進課が「G7記念授業」を企画、4~6月にかけて、新潟市内の中学校・中等教育学校9校の約1,500名に対し、当局新潟財務事務所の職員が手分けし「日本の財政について」と題して授業を行った。生徒からは「予算成立までのプロセスや財政状況のこれまでの歴史的経緯を知って面白かった。」という声や、現在の財政状況や少子高齢化への不安の感想もあり、予想以上に多くのことを吸収してくれたように感じられた。昨年8月末、G7財務大臣・中央銀行総裁会議の新潟開催が決まってから、手探りで準備を進めてきたが、ご指導いただいた財務官室をはじめ、各種ロジにご協力いただいた新潟市G7サミット推進課、新潟県警、2016 G7仙台の状況を教えていただいた東北財務局など、各関係者のご協力のおかげで何とか応援業務を行うことができた。あらためて御礼申し上げたい。新潟駅での鈴木大臣お迎えG7記念授業の様子財務トラックの各ペーパーに現れる青海波にお気付きだろうか。青海波は、未来永劫へと続く幸せと人々の平安な暮らしへの願いが込められた文様とされており、パンデミックやロシアの侵略戦争等により世界経済の不確実性が増す中で、国際協調を通じて世界経済の安定、ひいては人々の平安な暮らしの実現に貢献したいとの考えから、省内の若手が財務トラックの共通デザインとして取り入れることを提案した。青海波のデザインは、財務大臣・中央銀行総裁会議の成果文書のフォーマットのみならず、新潟の会場の立て看板等、財務トラックの様々な場面で活用され、統一感のあるデザインにも貢献した。青海波に込められた思いの実現に向けて、この幾重にも重なる波のように一つ一つ成果を積み重ねていきたい。せいがいはcolumn2昨年夏にG7財務大臣・中央銀行総裁会議政策企画事務局が始動し、2023年議長国に向けた財務トラックの優先課題の検討が始まった。2022年議長国のドイツをはじめG7各国や国際機関と意見交換しつつ、国内では省内外の関係者と緊密に連携し、財務トラックにおける優先課題を策定し、昨年12月に開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁の会議において鈴木大臣から各国に説明した。年明けからはG7議長国としての本格的な会議運営が始まった。まずは、優先課題の内容、各議題において目指す成果物等を各国にしっかり説明し、各国からの照会や問題提起に丁寧に対応することで、G7で目指す方向性に関しメンバー間で理解を深化させることに努めた。本年2月にはインドでのG20に際して、4月にはIMF世銀春会合に際して、G7財務大臣・中央銀行総裁会議を開催し、声明発出を通じて着実に議論の成果を積み上げるとともに、5月の新潟会合に向けた機運を高めてきた。また、これらの大臣総裁級の会議の準備のため、日々のメール等でのやり取りはもちろん、大臣総裁代理級以下の事務方での会議も頻繁に開催した。日中は各議題の検討や成果文書の策定作業、夜は海外とのオンライン会議やメールのやり取りという休む暇もない状況が続いた(頻発するオンライン会議や欧米との時差を恨むこともしばしば)が、関係者が一丸となって乗り越えることができた。そしてついに迎えた新潟。参加者が忌憚なく充実した意見交換をできるよう、慣例に囚われず、招待国との対話や著名な学者を招待してのランチ・セミナーを開催する等、プログラムにも工夫を凝らした。その甲斐もあり、多くの具体的成果への合意につながった。財務官室も昨年夏以降、G7議長国ロジを本格的に開始したが、やはりG7新潟直前期は多忙を極め、財務官室としての真価を問われる時期であった。特に、日本を訪れる代表団の対応には苦戦を強いられた。例えば、代表団が政府専用機を使って来日する場合、その受け入れには多大な準備を要するが、会議1週間前に、急遽、政府専用機の使用を決定した代表団の対応に追われるというハプニングも発生した(優秀なリエゾンと税関からの助っ人I専門官の卓越したロジ回しで当該国の政府専用機来日を無事実現することができた)。G7新潟については、最終的には省内外の関係者のチームワークで多くの困難を乗り越え、天候すら味方につけることができたと思う。G7開催中、新潟では驚くほど晴天が続き、各代表団に美しい新潟の風景を存分に堪能してもらうことができた。何より晴天のおかげで花火プロジェクトを実行に移すことができた。本プロジェクトの準備に奔走した助っ人T主査の号令のもと新潟の夜空に打ちあげられた花火は、財務官室職員にとっては格別に綺麗に思えた。G7議長は年末まで続く。国際機構課、財務官室ともに気を緩めることなく引き続き業務に邁進していきたい。青海波に込められた思い中央銀行総裁会議政策企画事務局) 14 ファイナンス 2023 Jul.事務局による振り返り(財務官室、国際機構課、G7財務大臣・

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