ファイナンス 2023年7月号 No.692
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食事や酒、展示等を通じて新潟の魅力を発信地元花火師が特別に制作した花火の打ち上げプレスセンター ~世界へ情報が発信される場所~国際会議の会場では、会議室や各国代表団控室の他に、会議を取材する報道機関(プレス)にとっての作業場所であるプレスセンターが設置されることが通例である。今回、朱鷺メッセのプレスセンターには外国メディア・国内メディア併せて約60社、約250名(プレス用IDバッジ発給ベース)が訪れ、海外大手テレビ局のカメラクルーや地元新聞社のペン記者など、様々な方に利用していただいた。会場内で記者会見等が行われた後、記者たちにとっては時間との戦いが始まる。足早に同じ会場敷地内のプレスセンターに戻り、夕方の報道番組や翌日の朝刊等において取材した内容が盛り込まれるよう、原稿等を執筆しないといけない。PCのキーボードを叩く音が鳴り響く傍ら、事務局スタッフを捕まえて事実確認を行う記者の姿もしばしば見られ、プレスセンターは一時、国際会議の状況が世界へ発信されるまでの緊迫感に包まれる。一方で、朱鷺メッセのプレスセンターは違う側面をも見せた。新潟の四季を堪能できる映像展示コーナーや、新潟のB級グルメ・たれカツ丼や郷土料理「のっぺ」等々の食事提供は好評を博した。新潟のソウルフード・イタリアン(ソースがけの焼きそば)を食べたイタリア人記者は、「とてもおいしいが、スパゲティではない」と苦笑い。プレスセンターからは、このような新潟のたくさんの魅力も、余すところなく発信していただいた。各国代表団と日本事務局との間の連絡調整は、国・組織毎に割当てられたリエゾンが担当した。ファイナンス 2023 Jul. 13column1まず食事。初日のワーキングディナーは和洋折衷、2日目のランチセミナーはフレンチ、夜の日本政府主催夕食会は和食会席とスタイルは変えつつも、村上牛やのどぐろ等の新潟を代表する肉・魚、地元産の野菜・果物の味を引き出すメニューを、ホテルニッコー・オークラグループの全面協力を得ながら 一つ一つ作り上げていった。各参加者の食事制限も事前に確認し、アレルギーやベジタリアン等の食事制限も配慮した。また、県内の酒蔵数が約90と日本一を誇る新潟県の酒も味わってもらうべく、酒を所管する国税庁(関東信越国税局)の知恵も借りながら、新潟産の日本酒、ワイン、ウィスキーの選定も行った。随行者への食事・お酒・リフレッシュメント等の提供も、限られた予算の中で関係者で工夫をしながら準備した甲斐あり、会議中には各国から食事を絶賛する声が多数聞けたのは、担当者として望外の喜びであった。また今回は、時間や警備上の制約により、朱鷺メッセ以外での公式プログラムは組成しなかったが、そんな中でも各国参加者に新潟の文化を体験してもらうべく、会場内の展示を充実させた。この点については、生きた錦鯉が泳ぐ水槽や、世界遺産登録を目指している佐渡金山を映像で紹介する大型展示ブースの設置等、新潟市のG7サミット推進課が大きな役割を果たした。政府としても、新潟が日本屈指の花火王国であることを鑑み、2日目夜にG7新潟のための特別な打ち上げ花火を企画した。県内の長岡花火の名物で平和を訴える「白菊」の他、G7各国の国旗や新潟の四季をイメージした花火を打ち上げ、鑑賞していた参加者からは歓声が上がっていた。この他にも、金属加工品で有名な新潟県燕市のカトラリーをお土産として贈呈したり、新潟市が企画した市内オプショナルツアーに大臣・総裁等も参加して酒造りや芸妓等の新潟の文化を身近に体験してもらったり等、短い滞在時間ではあったが、各国からの参加者には新潟の魅力を満喫して頂けたのではないかと思う。ら出される、「街中のレストランに行きたい」「カプチーノが欲しい」等々のワガママな?リクエストにも、機転を利かせて対応してくれていたのは頼もしかった。新潟、成田、羽田空港を各代表団が訪れる際の空港接遇においては、各空港ある税関出張所に多大なサポートを頂いた。代表団の空港接遇について税関が全面的に支援してくれたおかげで各代表団のスムーズな入国/出国を実現することができた。後方支援頂いた関税局の関係者にも改めて御礼申し上げたい。関東財務局にも財務省の地方支分部局として他方面にわたってサポートを頂いた。 3 新潟を世界へ会議の円滑な運営と並んで、開催都市新潟の魅力を世界に発信するのも、議長国の重要な役目である。張り詰めた会議の連続で疲れた参加者をもてなすべく、様々な工夫を凝らしつつ、新潟の魅力を感じてもらった。 4 リエゾン、税関、関東財務局の活躍会議開催が近づくにつれ、各種〆切や各国からの膨大な問い合わせへの対応に追われる中、各代表団の世話役業務を担うリエゾンには本当に助けられた。財務省国際局・関東財務局・日本銀行の若手職員26名をリエゾンとして任命したが、各リエゾンが担当代表団としっかりと信頼関係を構築してくれたおかげで、VIPの行動予定等の最新情報をリエゾン経由でタイムリーに入手することができ、警備体制の構築や円滑な会議の運営に大きく役立った。各代表団か 5 最後に細かいミスは(皆さん口に出してくれていないだけで)多々あったものの、大きな事故なく、予定通り成果文書も発出でき、何より各国参加者から新潟滞在を心から楽しんだとの声も多く聞けて、日本のホスピタリティの高さを十分に示すことができた会議になったのではないかと実感している。日本議長国下のG7も折り返し地点を迎えているが、財務官室としては、G7新潟での経験も活かし、引き続きしっかりと議長国として円滑な会議運営を実現していきたい。

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