ファイナンス 2023年6月号 No.691
68/78

富山市企画管理部 スマートシティ推進課 課長代理中村 圭勇日本海側有数の中核都市 富山市富山市のコンパクトシティ政策スマートシティ政策の融合〜富山市本市では、これまで「公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくり」を政策の中心に据え、公共交通の活性化、公共交通沿線地区への居住推進、中心市街地の活性化などに取り組み、2012年にはOECD(経済協力開発機構)がコンパクトシティ政策の世界先進5都市として本市を取り上げるなど、本市のまちづくりは国内外から高く評価されております。1.はじめに富山市は、日本海側のほぼ中央に位置し、水深1,000mの「海の幸の宝庫」富山湾から標高3,000m級の北アルプス立山連峰まで標高差4,000mの多様な地勢と雄大な自然を誇り、また、古くから「くすりのまち」として全国にその名が知られるように、薬業をはじめとする様々な産業と高度な都市機能、そして、多様な文化と歴史を併せ持つ日本海側有数の中核都市として発展してきました。2.コンパクトなまちづくりの“深化”一方で、近年は、本格的な人口減少や少子・超高齢化の急速な進行により、約12万haもの広大な市域を有する本市においては、中山間地域をはじめとする都市の郊外部において、経済社会活動の担い手不足や地域コミュニティの機能低下などの地域課題が顕在化しており、持続可能で将来世代に責任が持てる都市経営が求められています。こうしたことから、本市では、これまで推進してきたコンパクトシティ政策をさらに“深化”させるため、デジタル技術やデータを利活用し、地域課題や市民の困りごとを解決することで、市民生活の質および利便性の向上を図るスマートシティ政策に取り組み、コンパクトシティ政策をスマートシティ政策で補完・融合することにより「富山市版スマートシティ」の実現を目指すこととしました。3.富山市スマートシティ推進ビジョン本市では、令和4年11月に「富山市スマートシティ推進ビジョン」を策定しました。このビジョンは「富山市版スマートシティ」の実現のため、今後取り組むスマートシティ政策の基本理念(「コンパクト&スマート」「市民(利用者)中心主義」「ビジョン・課題フォーカス」)や方向性を定めたものであり、同時に産学官民が共有し、共に行動するための指針ともなるものであります。 64 ファイナンス 2023 Jun.SMART CITY TOYAMA〜 コンパクトシティ政策と

元のページ  ../index.html#68

このブックを見る