ファイナンス 2023年6月号 No.691
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p(Satisficing)=a2(Ability)×a3(Motivation)PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 20 プロフィール研究官  升井 翼2013年に北陸財務局に入局。2016年から財務総合政策研究所へ出向し、統計の作成、財政の長期推計などに従事しています。また、在職中の2023年に修士号(データサイエンス)を取得しました。ファイナンス 2023 Jun. 63POLICY RESEARCH INSTITUTE, Ministry Of Finance, JAPAN参考文献土屋隆裕(2014). 事例に見る調査票の設計と回答者の回答行動. マーケティング・リサーチャー, 125, 24-32.林知己夫(1970). 身近な社会. 統計数理研究所国民性調査委員会(編)『第2日本人の国民性』至誠堂, 75‒110.三浦麻子・小林哲郎(2015). オンライン調査モニタのSatis■ceに関する実験的研究. 社会心理学研究, 31(1), 1-12.Armstrong, J. S., Denniston Jr, W. B., & Gordon, M. M.(1975). The use of the decomposition principle in making judgments. Organizational Behavior and Human Performance, 14(2), 257-263.Christian, L. M., & Dillman, D. A.(2004). The In■uence of Graphical and Symbolic Language Manipulations on Responses to Self-Administrated Questions. Public Opinion Quartery, 68(1), 58-81.Dillman, D. A., Smyth, J. D., & Christian, L. M.(2014). Internet, Phone, Mail, and Mixed-Mode Surveys:The Tailored Design Method. New Jersey:John Wiley & Sons.Herek, G. M., & Capitanio, J. P.(1999). Sex differences in how heterosexuals think about lesbians and gay men:Evidence from survey context effects. Journal of Sex Research, 36(4), 348-360.Krosnick, J. A., & Alwin, D. F.(1987). An evaluation of a cognitive theory of response-order effects in survey measurement. Public Opinion Quarterly, 51(2), 201-219.Krosnick, J. A.(1991). Response strategies for coping with the cognitive demands of attitude measures in surveys. Applied Cognitive Psychology, 5(3), 213-236.Schuman, H., & Presser, S.(1981). Questions & Answers in Attitude Surveys. Massachusetts:Academic Press.Simon, H. A.(1957). Models of Man; Social and Rational. New Jersey:John Wiley & Sons.Smyth, J. D., Dillman, D. A., Christian, L. M., & Stern, M. J.(2006). Comparing check-all and forced-choice question formats in web surveys. Public Opinion Quarterly, 70(1), 66-77.Sudman, S., & Bradburn, N. M.(1973). Effects of time and memory factors on response in surveys. Journal of the American Statistical Association, 68(344), 805-815.過去の「PRI Open Campus」については、 財務総合政策研究所ホームページに掲載しています。https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/index.html念的な式に表されるように、質問のTask difficultyが高いほど、あるいは回答者のAbility及びMotivationが低いほどSatisficingが起こりやすいとされています(Krosnick 1991)。法人企業景気予測調査では、政府統計であることや調査対象が企業経営者であることなどから先に示したAbilityやMotivationが高く、Satisficingが起こりづらい特徴があると考えられます。一方、冒頭の全国学力・学習状況調査では、小学6年生を対象にしていることなどからAbilityやMotivationが比較的低かったのかもしれません。近年多くの調査で採用されているWeb調査等でも、回答者がポイントなどの報酬を得ることを主目的に日常的に数多くの調査に回答する傾向があることなどからMotivationが低くSatisficingが起こりやすい環境であることが考えられます(三浦・小林 2015)。これを踏まえて、データとうまく付き合っていくためには、調査実施者の立場からは、実際に調査を実施することになったときに、調査方法をどのように設計すればよいのか、知ろうとしているものがその方法で本当に得られているのか、という観点が重要であることがわかります。またデータユーザー(分析者)の立場からは、調査方法等によって結果に影響を生じうるということを念頭に置いたうえで、調査方法が結果に影響を与えていないかに気を配りながら結果を解釈することが求められます。結果の数値のみに着目し、データの内容や調査方法を吟味することなくいきなり4.おわりに本稿では、調査方法のささいに思えるような違いで異なる結果が得られることがあるということ、そして、政府統計やWeb調査等の性質の違いによって影響の受けやすさに違いがあることを具体的な事例を通して紹介してきました。a1(Task difficulty)複雑な統計手法等に頼りすぎることは誤りを犯す恐れがあり、そのデータがどのように収集されたものであるか、把握しておくことも重要なのです。財務総合政策研究所

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