ファイナンス 2023年6月号 No.691
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(出所)全国学力・学習状況調査から筆者作成201720162015201420132012201020092008200720%40%60%3時間以上、4時間より少ない1時間以上、2時間より少ない全くしない80%100%財務総合政策研究所 総務研究部 財政経済計量分析室 研究官  升井 翼図表1 小学6年生のテレビ等の視聴時間普段(月~金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、テレビやビデオ・DVDを見たり、聞いたりしますか(勉強のためのテレビやビデオ・DVDを見る時間、テレビゲームをする時間は除く)0%4時間以上2時間以上、3時間より少ない1時間より少ない1. データ(数字)だけ見ていてはわからないことがある今月のPRI Open Campusでは、本年5月に財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)から刊行されたリサーチ・ペーパー(RP)「法人企業景気予測調査の調査結果の継続性の検証」について、どのような問題意識に基づいており、何を明らかにしようとしているのかを「ファイナンス」の読者の方々に紹介します。ポイントは、統計をはじめとする「データ」が、どこまでその調査方法によって影響を受けるのか、ということであり、調査方法が回答に及ぼす実際の事例を交えつつ紹介します。図表1は小学6年生のテレビ等の視聴時間を調査した結果です。2007~2008年度の推移を見ると、100%積み上げグラフ左の「4時間以上」と「3時間以上、4時間より少ない」の割合が増加し、右の「1時間以上、2時間より少ない」と「1時間より少ない」の割合が減少しています。しかし、2008~2017年度の推移を見ると、「4時間以上」と「3時間以上、4時間より少ない」の割合はこの10年で減少傾向にあり、「1時間以上、2時間より少ない」と「1時間より少ない」の割合では逆に増加傾向が読み取れます。2007年度から2008年度にかけての動きが、その後の推移から大きく外れているのです。2008年度以降の動きは、SNS等の普及によるメディアの多様化等によって生活スタイルに占めるテレビ視聴のウェイトが小さくなっていることから説明がつきそうですが、2007年度から2008年度の動きはなぜでしょうか。小学6年生の興味関心があるテレビ番組などが多かったのでしょうか。それとも、児童の生活様式が急に変わったのでしょうか。このころの時代背景は…など、様々なことが頭に浮かびますが、決め手はなさそうです。20 58 ファイナンス 2023 Jun.データとうまく付き合っていくためには

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