ファイナンス 2023年6月号 No.691
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(出所)吉良宣哉氏資料より抜粋(出所)吉良宣哉氏資料より抜粋の行使A国当局による破綻処理権限の行使の行使その他資産内部TLAC(子会社への貸付・子会社株式等)その他負債(預金等)資産内部TLAC(親会社借入・株主資本等)主要子会社@B国その他負債(預金等)資産外部TLAC子会社グループ@B国持株会社等@A国その他負債外部TLAC資産主要子会社@C国持株会社等@A国その他負債その他資産外部TLAC内部TLAC資産子会社グループ@C国 外部の投資家外部の投資家その他負債内部TLAC(親会社借入・株主資本等)外部の投資家その他負債外部TLAC外部の投資家ファイナンス 2023 Jun. 45図表8 SPEアプローチA国当局による破綻処理権限図表9 MPEアプローチB国当局による破綻処理権限我が国におけるTLAC(総損失吸収力)規制C国当局による破綻処理権限の行使要な業務等を継続することにより、金融システムの安定を維持することができます。この場合、当局による破綻処理権限を行使する主体は持株会社のみである点が大きな特徴です(破綻処理権限を行使する主体(Resolution Entity)が一つであるため、Single Point of Entryという表現が用いられます)。二つ目の方法は、複数の当局が金融機関グループの各法人に対し、それぞれ破綻処理権限を行使することで、当該金融グループを構成する法人を個別に処理する方法であり、MPE(Multiple Point of Entry)アプローチと呼ばれます(図表9)。MPEアプローチのアイデアは、地域別や機能別でかっちり組織が分かれているようなケースでは、まとまった塊別にそれぞれの担当当局が処理したほうが、破綻処理を行う上で効率的という点にあります。MPEアプローチでは、図表9にあるとおり、持株会社の下にある子会社グループが外部TLACにより調達する仕組みであり、この場合、当局による破綻処理権限を行使する主体が複数ある点が大きな特徴です(Resolution Entityが複数生まれるため、Multiple Point of Entryという表現が用いられます)。

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